高額療養費の「限度額適用認定証」は、入院中(入院後)でも申請した方がいいのか?と、ご質問をいただきます。
私の回答としては、入院中であっても、なるべく限度額適用認定証を申請手続きすることをおすすめしています。
ですが、入院中、入院してしまった後であれば、病院の受付事務に確認してから限度額適用認定証の申請をした方がいいことがあります。それは、以下の3つです。
- 入院後でも限度額適用認定証を使えるのか?
- 退院後でも限度額適用認定証を使えるのか?
- 限度額適用認定証は、いつまでに病院に提出すればいいのか?
3点の回答によっては、限度額適用認定証を申請しなくても良いかもしれないし、必要に応じて還付手続きになるかもしれないです。
病院に確認する理由や回答次第でどうしたらいいのか、それぞれ解説していきます。ひとつの意見、アドバイスとして、検討材料にいてみてください。
入院後に限度額適用認定証を提示しても、今回の入院費に使えない病院があります。
1つめ、「入院後でも限度額適用認定証を使えるのか?」ですね。
本来、限度額適用認定証は、事前に申請しておいて、入院時に保険証と一緒に提示するものです。そうは言っても、急病や怪我の予測は難しく、検査や手術などの予定していた入院ばかりではありません。
保険証も無保険(健康保険に加入していない状態)で入院して、入院後に健康保険加入する患者さんもいます。健康保険に加入していても保険証が手元に届いていなくて、後日保険証が届いてから3割負担で精算する患者さんもいます。
そのため、限度額適用認定証についても、大抵の場合は、「入院中(入院後)でも、今月中に限度額適用認定証を提示してもらえれば、今月から限度額適用認定証(高額療養費)を使うことができます。」と病院の回答が得られます。
ですが、稀に、「入院中や入院後は、限度額適用認定証を提出しても、今月はもう使えません。」という病院もあるのです。
入院後は限度額適用認定証を使えない病院でしたら、急いで申請しても意味がなくなりますので、まずは「入院後でも限度額適用認定証を提示したら今月から使えるのか?」ここが重要になります。
また、万が一、入院後に限度額適用認定証を提示されても使えない病院だったときは、還付手続きという方法がありますので、大丈夫です。
一度、3割負担で病院に入院費をお支払いして、後で健康保険から高額分を払い戻しされる手続き方法です。高額療養費のひとつで、患者さんの自己負担額は最終的に限度額適用認定証と同じになります。
退院したら限度額適用認定証を使えない病院もあります。
入院中(入院後)でも、限度額適用認定証を使える病院でしたら、2つめ、次は「退院後でも限度額適用認定証を使えるのか?」です。
ひとつめ(入院後でも限度額適用認定証を提示すれば使えるのか?)と同じように、大抵の場合は、「退院後でも、今月中に限度額適用認定証を提示すれば、今月の入院費に関しては退院後でも使えます。」という病院が多いです。
ただ、「入院中に限度額適用認定証を提示すれば入院費に使えます。退院したら限度額適用認定証を提示しても入院費には使えません。」という病院もあります。
「退院したら限度額適用認定証は使えない。」ということなら、退院予定日を医師にご確認の上、入院中に提示できるようにお早めに限度額適用認定証の申請することをおすすめします。
退院後でも限度額適用認定証を使える病院の場合、退院予定日が近かったり、1~2週間の予定入院でしたら、「入院費が大体いくら位になるのか?限度額適用認定証の対象になりそうか、【概算】を聞いてみるといいです。
もしかしたら、3割負担でも目安の限度額(80,000円)までならず、限度額適用認定証の対象にならないかもしれません。限度額までかからなかったり、80,000円前後で限度額適用認定証の対象になるか、対象になっても100円か200円くらいかもしれない。ということもあります。
限度額適用認定証の対象にならない可能性があるのなら、退院してから3割負担の入院費をみて、限度額適用認定証の申請を検討することもできます。
例:月初に入院して手術、2週間後に退院など。退院してから限度額適用認定証を申請しても月末までに間に合います。
過去には「100円くらいなら、高額療養費(限度額適用認定証や払い戻し)の手続きをする方が面倒だから、高額になってもいい。申請しない。」という患者さんもいらっしゃいました。
- 退院後は限度額適用認定証を使えないなら、入院中に申請して限度額適用認定証を提示できるようにするため。
- もしかしたら3割負担でも限度額適用認定証(高額療養費)の対象にならないかも、申請しなくてもいいかもしれないので。
と2つの意味で、「退院してからでも限度額適用認定証を使えるのか?」を確認しておくとよいです。
限度額適用認定証の提出期限は、翌月5日~10日くらいまでの病院が多いです。
3つめは「限度額適用認定証は、いつまでに病院に提出すればいいのか?」です。
1つめ、2つめの質問で、「限度額適用認定証は今月中に提出してください。」と病院から回答されるとお伝えしました。この「今月中」は確実に入院費を安くできる期限です。
病院の医療費は、翌月10日までに、7割分を健康保険へ請求します。翌月10日までというのは締切で、実際には、7日や8日など、10日よりも前に健康保険へ請求する病院が多いです。
患者さんや診療科が少ない病院は、毎月の請求が早い傾向があり、翌月10日までの請求を、5日など、かなり前倒しで終わらせることもあります。
この請求が終わってしまっては、いくら10日の前(8日や9日)でも、限度額適用認定証で入院費を安くすることはできません。
そのため、「入院中に限度額適用認定証を申請する。」「退院後に限度額適用認定証の手続きをする。」とき、特に限度額適用認定証が月末や翌月に届きそうな場合は、いつまでに提出すればいいのか?を確認することです。
病院によっては、「今月末まで。月をまたいだら限度額適用認定証は使えません。」と決めていることもあります。
そのときは「限度額適用認定証の申請したけど、今月中はちょっと無理かも。翌月届きそう。お願いします!!」と心を込めて頼み込んでみてください。受付事務の人も鬼ではないので、「じゃあ今回だけ・・・。」と翌月の提示を了承してくれることが多いです。
「次のお見舞い(面会)のときでいいかな。」「次回受診で行くから、そのとき出せばいいね。」と思っていたら、もう請求が終わってしまって、限度額適用認定証が届いても使えず、安くできない。ということもあります。
限度額適用認定証をいつまでに出せばいいのか?大事なことなので、忘れずにご確認ください。
入院中(入院後)に限度額適用認定証の提示は、病院にご確認ください。
入院中、入院後の限度額適用認定証については、主にこの6つのパターンがあります。
- 入院中、入院後は、限度額適用認定証は使えない。(事前に提示された場合のみ使える。)
- 入院中、入院後でも、今月末までに提示したら限度額適用認定証を使える。
- 入院中に限度額適用認定証を提示すれば使えるが、退院後の限度額適用認定証は使えない。
- 退院後でも今月末までに提示したら限度額適用認定証を使える。
- 入院中、退院後も、限度額適用認定証の提出は今月末まで。
- 入院中、退院後も、限度額適用認定証は翌月5日頃まで提出すれば使える。
私が勤める病院では、手術で腫瘍をとって、良性か悪性かの検査結果次第で入院費が変わる患者さんがいました。そういった患者さんには、「入院費も検査結果がでなければ計算できないので、限度額適用認定証も月をまたいでも使えます。」とお伝えしていました。
病院ごとに対応がさまざまで、患者さんにとっては混乱するかもしれません。でも、どれもが正解で、間違いはありません。
先月入院した病院と今月入院した病院、ご家族が入院した病院とご自身が入院した病院、その病院ごとに異なりますので、限度額適用認定証の対応をご確認いただければ幸いです。
保険証や健康保険などについての記事は他にもあります。参考にご覧ください。
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