『総合病院や大学病院など、大きな病院を受診するときは、「紹介状」を持っていきましょう。紹介状がなければ、「選定療養費」という、自費の医療費がかかります。』という、お話を聞いたことはありませんか?
大病院の選定療養費とは、小さい病院を省略して、いきなり大きい病院に行く患者さんを減らすための料金です。
「大きな病院の方が、設備が整っている。診療科がたくさんあるから、別の先生にもすぐ診てもらえる。必要ならすぐ入院もできる。」と、いきなり大きな病院を受診する患者さんが増えています。
なので、「診療所やクリニックなどの小さい病院を受診して、精密検査や手術、専門医による診察が必要な患者さんは、総合病院や大学病院などの大きい病院で診てもらいましょう。」という流れにするために、この選定療養費が作られました。
今日は、「選定療養費(特定療養費)とは何なのか?」を、わかりやすくご説明します。選定療養費が免除になるとき、金額はいくらなのか等も、詳しく書いていきます。
2026年度、医療費が値上がりします。
「大病院の選定療養費」とは、小さい病院と大きい病院が役割分担するための医療費です。
「大病院の選定療養費」とは、入院ベッド数が200床以上の大きい病院に、外来受診したときにかかるお金のことをいいます。
- 選定療養費
- 特定療養費
- 保険外併用療養費
と言われることがあります。上記3つは、表現や書き方が違うだけで、すべて同じ「大病院の選定療養費」のことを指しています。
「小さい診療所やクリニックと、大きな病院で、役割分担をしよう!」という目的のために、国(厚生労働省)が作った制度です。
「大きい病院の方が、なんでも揃ってるから安心。全診療科の先生がいるから、大きい病院に行けば確実。」と考える患者さんが多いため、大病院の患者さんが増えて待ち時間が長くなってしまう。
「小さい病院で診察してもらって、精密検査や手術、専門的な治療が必要な患者さんだけ、大きい病院を受診してください。」という流れにしたい。
そこで厚生労働省は考えました。
「紹介状を持っていない患者さんや緊急性のない患者さんは、自分(患者)が大きい病院の受診を選んでいるんだ。じゃあ、特別料金をもらうようにする!そうすれば、この特別料金がかからないから、小さい病院やクリニックに行くようになる!」
ということで、できたのが「大病院の選定療養費」です。
入院したとき、通常は4人などの大部屋になって、自費の追加料金はない。でも患者さんが希望して個室に入院するときは、差額ベッド代がかかりますよね。
「差額ベッド代がかかってもいいから個室に入院したい」と同じように、「特別料金(自費)がかかってもいいから、この病院(大きい病院)を受診したい」という患者さんには、自費で大病院の選定療養費をもらいましょう。というものです。
結果的に、症状だけでは病気がわからない患者さんや、風邪や炎症などの軽い病気は、診療所やクリニックの先生にお任せする。結果的に、大病院での混雑が減って空いてくるので、患者さんも診察や会計など、待ち時間が短くなります。
総合病院や大学病院が「大病院の選定療養費」がかかる大きい病院です。
「大病院の選定療養費」がかかる病院は、総合病院や大学病院など、入院ベッド数が200床以上の病院です。
- 特定機能病院(大学病院本院、がんセンター、循環器センター)
- 一般病床200床以上の地域医療支援病院
- 一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関
正確にいうと、このような3つの基準があります。
特定機能病院は、大学病院本院、がんセンター、循環器センターのことです。※基本的には「大学病院分院」は特定機能病院ではありません。
特定機能病院は入院ベッド数400床以上ありますし、地域医療支援病院も紹介受診重点医療機関も、大体一般病棟200床以上あります。
なので、一般的には入院ベッド数が200床以上の病院は、大病院の選定療養費がかかる病院という認識でよいでしょう。
厚生労働省のホームページに、それぞれの一覧が公開されています。お住まいの地域でご確認ください。
大病院の選定療養費が請求されるとき。紹介状なし、他院に紹介後も再来受診するとき。
大病院の選定療養費は、大病院の患者さんを減らすための特別料金です。
なので、小さい病院やクリニックからの紹介状なしで、大きい病院へ受診に行く初診の患者さんは「大病院の選定療養費」がかかります。
小さい病院やクリニックに行けば特別料金(大病院の選定療養費)はかからないのに、はじめから大きい病院の受診をする。これは、「お金払うから、大きい病院を受診させてください。」ということになります。
また、「これからは小さい病院やクリニックに受診してくださいね。」と、大きい病院から小さい病院へ、患者さんが戻すことも進んでいます。
大きい病院から小さい病院へ紹介をしているにも関わらず、総合病院や大学病院など、大きい病院を受診する再診の患者さんも「大病院の選定療養費」がかかります。
考え方として、小さい病院を受診して、精密検査や手術など必要があるときに、大きい病院へ紹介受診。大きい病院で、精密検査や手術をして、小さい病院に戻ってもらう。今後は、小さい病院で経過観察。
というように、大きい病院での検査や治療が終わったら、また小さい病院やクリニックに受診するようになっています。
【変更点】この大病院の選定療養費、以前は、紹介状を持参しない初診の患者さんだけでしたが、現在は、小さい病院に戻れるのに大病院を受診する再診の患者さんも対象になっています。
料金については、後ほど解説します。
大病院の選定療養費が請求されないとき。紹介状あり、救急車で運ばれたとき。
「紹介状があれば選定療養費はかからない。」、「飛び込みで受診すると選定療養費が発生する。」と、選定療養費は紹介状の有無で決まると言われています。
ですが、紹介状なしで大きい病院を受診しても、特定療養費がかからない【免除】になることもあります。
選定療養費がかからない(免除になる)場合は、こちらです。
- 紹介状を持参したとき。
- 救急車で運ばれたとき。
- 生活保護(生保)の患者さん。
- 労災(仕事中のケガ、病気)の患者さん。
- 交通事故(自賠責保険)の患者さん。
- そのまま入院になった患者さん。
紹介状を持参したとき、こちらは選定療養費がかからない、お馴染みのパターンですね。
救急車を呼ぶ状態のとき、救急車で搬送されるようなときは、小さい病院に行ってる場合じゃない。1分1秒でも早く、医師の診察が必要になるので、選定療養費はかかりません。
※救急車とは別で、自家用車やタクシーなど、自力で救急外来を受診される患者さんは、選定療養費の対象になります。つまり、「救急外来でも、紹介状がなければ、選定療養費がかかる。」ということです。
(だからといって軽症のときは救急車を呼ばないでください。最近では救急車の有料化の地域もあります。)
生活保護の患者さん、労災(仕事中)の患者さん、事故(自賠責)の患者さんは、選定療養費はかからないです。紹介状がなくても、新患、初診でも、免除になります。
「乳初」「親初」「障初」の患者さんは選定療養費がかかります。免除になりません。
- 3歳未満の子供さんが持っている乳幼児医療の受給者証「乳初」
- 母子家庭、父子家庭など、ひとり親家庭の受給者証「親初」
- 透析患者さんや精神疾患など、重度障害者の受給者証「障初」
また、上記のような「〇初」の受給者証をお持ちの患者さんは、免除にならず、基本的に紹介状を持参しなければ選定療養費が発生します。
※救急車で運ばれたとき、労災、交通事故のときは例外です。救急車、労災、事故のときは、「〇初」の受給者証をお持ちの患者さんも、選定療養費が免除になります。
「〇初」の受給者証があれば、通常どこの病院でも、患者さんの自己負担額は初診時580円だけです。580円以上かかることはなく、再診時には0円です。しかし、特定療養費は健康保険適用外なので、自費(10割)でお支払いするものになります。
「おかしい!580円以上かからないのに!」とよく言われます。ぼったくりや詐欺かのように思いますよね。ただ、『「〇初」の患者さんにも選定療養費を負担してもらう』ことは、日本という国(厚生労働省)が決めたことなのです。
大病院の選定療養費、内科や外科、小児科など初診時7,000円~、再診時3,000円~。
| 初診時 | 再診時 | |
| 医科 | 7,000円以上 | 3,000円以上 |
| 歯科 | 5,000円以上 | 1,900円以上 |
上の料金は、入院ベッド数が200床以上ある大病院の選定療養費です。
医科と歯科にわかれています。歯科は歯医者、医科は内科や外科、小児科など歯医者以外と考えてOKです。
初診時と再診時で料金も異なります。
初診時は、小さい病院からの紹介状なしで大病院を受診したとき。
再診時は、小さい病院への紹介状があり、小さい病院へ戻れるのに戻らず、大病院を受診したとき。
です。
金額は、2022年(令和4年)に、大病院の選定療養費が義務化され、医科の初診時は最低7,000円以上など、最低金額が厚生労働省によって決められました。
なので、7,000円の病院が多いです。私が調べたところによると、一番高くて医科の初診時で11,000円でした。
初診料と大病院の選定療養費で、7,930円って。電子的加算や物価高騰の料金、医療従事者の賃上げ料金など含めると、診察代だけで8,000円になります。その他検査や治療をするとなれば、10,000円は超えるでしょう。
大病院の選定療養費を請求されたとき、初診時2,000円が保険適用の医療費から差し引かれます。
| 初診時 | 再診時 | |
| 医科 | 2,000円 | 500円 |
| 歯科 | 2,000円 | 400円 |
大病院の選定療養費がかかったときは、保険適用の医療費からある一定の金額が差し引かれます。↑それが上の表です。
2022年に、大病院の選定療養費の金額が引き上げられたので、高くなった分を保険適用の医療費から差し引きます。ということです。
たとえば、初診料や検査、処置、治療など、10割負担で合計10,000円になったとします。
10割負担(保険適用前の医療費)、10,000円。
そしたら医科の初診だったら2,000円。10割負担で10,000円から、2,000円を引きます。すると8,000円になります。
10割負担(保険適用前の医療費)、10,000円ー差し引き金額、2,000円=8,000円。
この8,000円から、3割分2,400円を患者さんに負担していただきます。という流れです。
差し引き後の医療費、8,000円×0.3(3割負担)=2,400円。
通常であれば、10割負担(保険適用前)で10,000円だったら、3割負担(保険適用後の患者さん負担)は3,000円です。以前はこの3,000円に、大病院の選定療養費7,000円を足して、お会計10,000円という計算でした。
3割負担の3,000円+大病院の選定療養費7,000円=お会計合計10,000円
ですが、この差し引きによって、10,000円の医療費のところ、8,000円に対しての3割負担で、2,400円になります。ここに、大病院の選定療養費7,000円が足されるので、9,400円になります。
3割負担の2,400円+大病院の選定療養費7,000円=お会計合計9,400円
です。
この差し引きについては、大病院の選定療養費のかかる病院のホームページには書かれていないことが多いです。大病院の選定療養費を支払ったときは、差し引きされているのか、ご確認ください。
差し引かれていないときは、もしかしたら知らないのかもしれません。そのときは、以下リンク先のPDFを見せて、厚生労働省が決めていることで、2026年も有効であることをお伝えください。
→厚生労働省公表の「大病院の選定療養費について」(PDF資料)はこちら
選定療養費は、そもそも「有料でもいいから、こうをしてほしい。こうしたい。」と患者さんが決めるものです。
例えば、入院するとき、「有料でもいいから、個室に入院したい。」など。
なので、大病院を受診するかどうかは患者さんが決められます。受診しようとした病院が、大病院の選定療養費が請求される病院かどうかわからないときは、その病院のホームページ等を調べたり、電話したり、病院に直接ご確認ください。
「大病院の選定療養費が請求される病院ですか?」と、受付で聞いて、請求されるなら帰ってもいいです。
「あの病院も大きいよね。でも入院ベッド数が200床以上かどうかはわからない。」というときは、病院にお問い合わせください。
紹介状を持参して病院に行くか、大病院の選定療養費を自費で支払うか、いくら違うのか比べた結果をまとめました。合わせてご覧ください。
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