『総合病院や大学病院など、大きな病院を受診するときは、「紹介状」を持っていきましょう。紹介状がなければ、「選定療養費」という、自費の医療費がかかります。』という、お話を聞いたことはありませんか?
病院の選定療養費とは、小さい病院を省略して、いきなり大きい病院に行く患者さんを減らすための医療費です。
「大きな病院の方が、設備が整っていて、診療科がたくさんあるから、すぐ別の先生に診てもらえる。必要ならすぐ入院もできる!」と、いきなり大きな病院を受診する患者さんが増えています。
なので、「診療所やクリニックなどの小さい病院を受診して、精密検査や手術、専門医による診察が必要な患者さんは、総合病院や大学病院などの大きい病院で診てもらいましょう。」という流れにするために、選定療養費が作られました。
今日は、「選定療養費(特定療養費)とは何なのか?」を、わかりやすくご説明します。選定療養費が免除になるとき、金額はいくらなのかなども、詳しく書いていきます。
特定療養費とは、小さい病院と大きい病院が役割分担するための医療費です。
「選定療養費」とは、入院ベッド数が200床以上の病院に、初診で外来受診したときにかかるお金のことをいいます。
- 選定療養費
- 特定療養費
- 初診時選定療養費
- 初診時特定療養費
- 保険外併用療養費
と言われることがあります。上記5つは、表現や書き方が違うだけで、すべて同じ「選定療養費」のことを指しています。
「小さい診療所やクリニックと、大きな病院で、役割分担をしよう!」という、日本が作った国(厚生労働省)の制度です。
診療所やクリニックなどの小さな病院は、症状が出たらとりあえず駆け込む場所です。切り傷の処置や風邪などの軽い病気なら、小さな病院で治せます。
総合病院や大学病院などの大きな病院は、小さな病院ではできない検査や治療をする場所です。そのために、各診療科の専門知識を持った医師がいて、難しい病気を調べるための検査機器や、病気を治すための手術に使う物が揃っています。
「大きい病院の方が、なんでも揃ってるから安心。全診療科の先生がいるから、大きい病院に行けば確実。」と考える患者さんが多いため、大病院の患者さんが増えて待ち時間が長くなってしまう。
「小さい病院で診察してもらって、精密検査や手術、専門的な治療が必要な患者さんだけ、大きい病院を受診してください。」という流れにしたい。
なので、「選定療養費」は、大きい病院の外来患者さんを減らすために、紹介状を持ってる患者はかからない医療費、紹介状を持っていない患者さんにはかかる医療費です。
症状だけでは病気がわからない患者さんや、風邪や炎症などの軽い病気は、診療所やクリニックの先生にお任せする。結果的に、大病院での混雑が減って空いてくるので、患者さんも診察や会計など、待ち時間が短くなります。
紹介状を持参しなくても「特定療養費が免除になるとき」はどんなとき?
「紹介状があれば選定療養費はかからない。」、「飛び込みで受診すると選定療養費が発生する。」と、選定療養費は紹介状の有無で決まると言われています。
ですが、紹介状なしで大きい病院を受診しても、特定療養費がかからない【免除】になることもあります。それが、下記5つの場合です。
- 紹介状を持参したとき。
- 救急車で運ばれてたとき。
- 生活保護(生保)の患者さん。
- 労災(仕事中のケガ、病気)
- 交通事故(自賠責保険)
紹介状を持参したとき、こちらは選定療養費がかからない、お馴染みのパターンですね。
救急車を呼ぶ状態のとき、救急車で搬送されるようなときは、小さい病院に行ってる場合じゃない。1分1秒でも早く、医師の診察が必要になるので、選定療養費はかかりません。
※救急車とは別で、自家用車やタクシーなど、自力で救急外来を受診される患者さんは、選定療養費の対象になります。つまり、「救急外来でも、紹介状がなければ、選定療養費がかかる。」ということです。
生保の患者さん、労災(仕事中)の患者さん、事故(自賠責)の患者さんは、選定療養費はかからないです。紹介状がなくても、新患でも、初診でも、免除になります。
「乳初」「親初」「障初」の患者さんは選定療養費がかかります。免除になりません。
- 3歳未満の子供さんが持っている乳幼児医療の受給者証「乳初」
- 母子家庭、父子家庭など、ひとり親家庭の受給者証「親初」
- 透析患者さんや精神疾患など、重度障害者の受給者証「障初」
また、上記のような「〇初」の受給者証をお持ちの患者さんは、免除にならず、基本的に紹介状を持参しなければ選定療養費が発生します。
※救急車で運ばれたとき、労災、交通事故のときは例外です。救急車、労災、事故のときは、「〇初」の受給者証をお持ちの患者さんも、選定療養費が免除になります。
「〇初」の受給者証があれば、通常どこの病院でも、患者さんの自己負担額は初診時540円だけです。540円以上かかることはなく、再診時には0円です。しかし、特定療養費は健康保険適用外なので、自費(10割)でお支払いするものになります。
「おかしい!540円以上かからないのに!」とよく言われます。ぼったくりや詐欺かのように思いますよね。ただ、『「〇初」の患者さんにも選定療養費を負担してもらう』ことは、日本という国(厚生労働省)が決めたことなんです。
選定療養費は保険適用外。10割負担。初診時と再診時にかかります。
特定療養費は自費で、健康保険を使えないです。なので、初診料や再診料など診察代のほかに、10割負担でお会計に計算されます。
3年ほど前までは、「初診時特定療養費」や「初診時選定療養費」と言われることがありました。初診のときしか、かからなかったからです。
ただ最近では、平成28年度の診療報酬改定を機に、初診時のほかに、再診時にも、選定療養費がかかるようになってきました。大体、初診時の方が高く、再診時は初診時の半額という病院が多いです。
選定療養費の金額はいくら?大病院は初診時一律5,000円。
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- 医科、初診時、5,000円
- 医科、再診時、2,500円
- 歯科、初診時、3,000円
- 歯科、再診時、1,500円
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上の料金は、入院ベッド数が500床以上ある大病院の選定療養費です。
まず医科と歯科にわかれています。歯科は歯医者、医科は歯医者以外と考えてOKです。また、初診時と再診時で料金も異なります。
また、入院ベッド数が200床~499床までの大きい病院は、病院が独自で設定した金額になります。
500床未満の病院は、特定療養費の料金は、○○円と決まっておらず、病院によって、500円~10,800円までバラバラです。ちなみに、近畿大学医学部付属病院が10,800円の最高額です。
- 紹介状は、3割負担で1通750円。※紹介状は保険適用できます。
- 初診料は、3割負担で846円。
紹介状の750円と、初診料846円が2回かかったとしても、2,442円。紹介状なしで受診して選定療養費を負担するよりも、2,558円~7,558円も医療費を抑えることができます。
5,000円や10,800円を負担してまで、大病院を受診する必要はないでしょう。紹介状があれば、選定療養費を支払わなくてもよくなります。
診療所やクリニックなど、小さい病院では不安に思うかもしれません。ですが、医師は病気の知識を一通り勉強して研修を受けています。
医師が自分の専門外だと判断すれば、患者さんの症状や状況から専門の診療科宛てに紹介状を書いてくれます。なので、まずは、診療所やクリニックなど小さい病院から受診してみてはいかがでしょうか。
入院ベッド数500床以上の大病院は、選定療養費一律で5,000円です。平成28年4月から始まった制度です。詳しくはこちらの記事に書いてあります。
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紹介状を持参して病院に行くか、特定療養費を自費で支払うか、いくら違うのか比べた結果をまとめました。また、フジテレビの情報番組「ノンストップ」で、選定療養費が特集されていたときの記事もあります。合わせてご覧ください。
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→【ノンストップ】病院の初診時選定療養費とは?紹介状を持参しないときの料金です。はこちら
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