「結婚して名字が変わりました。でも、会社への届出はこれから。保険の氏名変更は、まだ終わっていません。そんなときに、病院に行きたくなったら・・・?」
以前の私なら、「旧姓の保険証は使えないので、いったん全額お支払いいただくことになります。」とご案内していました。病院で入院係をしていたころは、実際にそういう対応をしていたのです。
でも今は、答えが変わっています。
マイナ保険証をお使いなら、氏名変更の手続き中でも、そのまま受診できる可能性が高いです。
なぜそう言えるのか。そして、それでも気をつけたほうがいいことは何か。順番にご説明します。
この記事は「結婚して名字が変わった」場合のお話です。結婚を機に退職して配偶者の扶養に入る、転職する、という場合は、名字だけでなく入る健康保険そのものが変わります。そちらは記事の最後でご案内します。
2026年度、医療費が値上がりしました。
名字が変わったとき、病院受診できるのか。先に答えをお伝えします。

| 手元にあるもの | 氏名変更の手続き中は |
|---|---|
| マイナ保険証 | そのまま受診できる可能性が高い。 |
| 資格確認書 | 旧姓のままだと使えないことがある。いったん全額お支払いすることもある。 |
「マイナ保険証」か「資格確認書」、いま手元にあるものによって、対応が変わります。
「紙の健康保険証」は、もう使えません。 2024年12月2日で新規発行が終わり、期限切れの保険証を使える特例も2026年7月31日で終わりました。
今、手元にあり、使えるのはマイナ保険証か、資格確認書のどちらかです。
| 手続き | どこに | いつまでに |
|---|---|---|
| マイナンバーカードの氏名を書き換える | お住まいの市区町村 | 14日以内 |
| 健康保険の氏名変更を届け出る | 勤務先(保険者) | 勤務先の定めによる |
そして、氏名が変わったときにしなければならない手続きは、マイナンバーカードと健康保険の氏名変更で、2つあります。
この2つは、別の手続きです。片方だけ済ませて、もう片方を忘れている方がとても多いところです。
マイナ保険証を使っている場合。
名字が変わっても、マイナ保険証は読み取れます。

マイナンバーカードには、2種類の電子証明書が入っています。
病院でマイナ保険証を使うときに働くのは、このうち「利用者証明用電子証明書」のほうです。顔認証か、4桁の暗証番号で本人確認をする、あの仕組みです。
電子証明書は失効します(ただし、利用者証明用電子証明書は失効しません)。
そして、公的個人認証サービスのサイトには、こう書かれています。
署名用の電子証明書(6〜16桁のほう)には氏名や住所が記載されているので、名字が変わると失効します。でも、利用者証明用のほうには氏名が記載されていないので、名字が変わっても失効しません。
つまり、結婚して名字が変わっても、マイナ保険証としての読み取りはそのまま続けられます。
健康保険そのものも、切れていません。継続されています。

もうひとつ、ご加入の健康保険に変更がなければ、加入情報の変更もありません。
マイナ保険証は、マイナンバーに紐づいた健康保険の加入情報を確認しています。
病院がマイナンバーを読み取ることで、マイナンバーが健康保険に加入情報を読み取りにいっています。その結果が、健康保険→マイナンバー経由で→病院に表示される。というものです。
名字が変わっても、ひとりひとりのマイナンバーは変わりません。
同じ会社で働き続けて、同じ健康保険に加入しているのなら、健康保険も変わっていません。
変わったのは名前、姓(名字)だけです。
ということは、マイナ保険証を使うと、結婚前から加入されていた健康保険がそのまま継続して表示される。ということです。
- マイナンバーカードの利用者証明用の電子証明書は、名前(名字)が変わっても、そのまま使える。
- マイナンバーカードの健康保険は、名前(名字)が変わっても、継続加入されている。
この2点が「手続き中でも受診できる可能性が高い」という理由です。
マイナンバーカードと健康保険。手続きは、2つとも必要です。

ここが混同しやすいところなので、あらためて分けて書きます。
① マイナンバーカードの氏名を書き換える。(市区町村・14日以内)
マイナンバーカードの記載内容に変更があったときは、14日以内に市区町村に届け出て、カードの記載内容を変更する必要があります。
マイナンバーカード総合サイトには、こう書かれています。
これは、手元にあるマイナンバーカードの表面に印字されている氏名のことです。市区町村の窓口で、券面(カード)の印字とICチップの中の記録を書き換えてもらいます。
婚姻届を出しに行くときに、一緒に済ませてしまうのがいちばん楽です。
② 健康保険の氏名変更を届け出る(勤務先)
加入している健康保険(協会けんぽ、健康保険組合など)に、氏名が変わったことを届け出ます。こちらは会社を通じて行う手続きです。
ご加入の健康保険によっては、マイナンバーが登録されていれば届出を省略できる場合があります。勤務先の担当者さんに確認してみてください。
病院やマイナポータルで表示される名前は、しばらく旧姓のままです。

ご加入の健康保険で氏名変更の処理が終わるまで、マイナ保険証の健康保険情報に登録されている氏名は旧姓のままです。そのため、
- 病院の受付でマイナ保険証を読み取ったとき。
- マイナポータルで自分の健康保険情報を見たとき。
など、タイミングによっては、旧姓のまま表示されることがあります。大丈夫です。驚かれるかもしれませんが、健康保険が期限切れになっているわけではありません。
健康保険側の処理手続きが終われば、新しい名字に切り替わります。「データの反映に時間がかかっているだけ。」として待ちましょう。
「マイナ保険証を使えば、必ず大丈夫。」とまでは、言えません。

正直、ここまでは「マイナ保険証の性変更は、仕組みの上ではこうなっている。」という話です。実際の窓口では、
- 健康保険側の処理がどこまで進んでいるか。
- その病院がどういうやり方(運用)をしているか。
によって、対応が変わることがあります。
また、マイナンバーカードは新姓、健康保険は旧姓で、名前が不一致の場合、窓口で写真付き身分証明書など本人確認書類での確認を求められることもあるでしょう。
それでも、紙の保険証しかなかった時代とは状況がまったく違います。あのころは「旧姓の保険証は使えません。」で終わりでした。
いまは、マイナンバーカードで本人確認ができて、健康保険に加入していることの確認ができるので、そのまま(旧姓のまま)通る可能性もあります。
ただ、病院の方針次第でOKとしますが、私個人的には不安がありますね。
私が病院の受付だったら?を考えると、そのまま(旧姓のまま)でOKにはしないでしょう。患者さんが健康保険の氏名変更をしていない等で、健康保険の登録が新姓になっていなければ、7割の請求書が通らないからです。
病院のやり方(運用方法)によりますので、名前が変わったら、受診前に病院へ電話しておくと安心です。↓この聞き方でOKです。
- 「結婚して名字が変わったばかりで、健康保険の手続き中です。マイナ保険証は使えますか。」
- 「データが反映されていなくて、旧姓が表示されるのですが、保険適用(3割負担)になりますか。」
資格確認書を使っている場合。

マイナ保険証をお持ちでない方には、「資格確認書」が交付されています。
資格確認書には、氏名が印字されています。そのため、名字が変わったら記載を変える必要があります。以前の紙やカード型の「保険証」のように、新しい資格確認書が届くまでは、旧姓のものが手元にある状態ですね。
旧姓の資格確認書を出したら、どうなるか。

旧姓の資格確認書を出したときの窓口の対応は、病院によって分かれます。
① 事情を伝えれば、3割負担で受診できることがあります。
受付で、こう伝えてみてください。
「結婚して名字が変わりました。健康保険は手続き中で、新しい資格確認書がまだ届いていません。」
私が窓口にいたころも、この一言があるかどうかで対応が変わりました。黙って旧姓のものを出されるより、先に事情を話してもらったほうが、病院受付としても動きやすいのです。
- 請求書は10割負担だけど、その3割相当分を一部入金としてお支払いする。
- 請求書は10割負担で、お会計保留にする。
などです。
最終的には、新しい資格確認書を確認後に、3割負担で正式な請求書を発行して、3割負担分をお支払いしてもらう。となります。
② いったん全額お支払いすることがあります。
それでも、その場で「健康保険の確認できない」という判断になれば、10割(全額)をお預かりすることがあります。
これは病院や状況などによって、さまざまです。
ただし、10割負担でお支払いしたとしても、あとで7割分を返してもらえます。10割負担は一時的なことで、健康保険に加入していれば3割負担になりますので、ご安心ください。
全額払っても、あとから3割になります。

新しい資格確認書が届いたら、その月のうち(月末まで)に病院へ持っていってください。
同じ月内であれば、多くの病院が保険適用させて3割負担に計算し直して、その場で差額の7割分を返してくれます。
月をまたいでしまった場合は、病院で10割負担から3割負担へ精算ができないことがあります。翌月5日~7日くらいまでは前月分も、新しい資格確認書で3割負担にしてくれることがあるので、ダメ元で病院に確認してみましょう。
「月をまたいでいるので、前月分は新しい資格確認書にできません。」など、断られたときは、諦めて身を引いてください。そのときは、手続きをすれば健康保険から7割分が返金されます。
健康保険には、「新しい資格確認書が間に合いませんでした。10割負担で支払ったので、健康保険負担の7割分を返金お願いします。」という手続きがあります。7割分が戻ってくるまで、時間がかかりますが、ちゃんと返金されるので大丈夫です。
どちらにしても、10割負担をした領収証は必ず取っておいてください。この領収書がないと、手続きができません。
「月末までに持っていけばいい。」と思っていたら、忘れて気づいたら、翌月になっていた。ということもあります。私は新しい資格確認書が届いたら、すぐに病院に持っていくことをおすすめします。
マイナ保険証や資格確認書が使えないとき、3割負担で受診する方法は、別の記事でまとめています。こちらも参考になれば幸いです。
→【参考】保険証が手続き中で手元にないとき、3割負担で受診する方法はこちら
旧姓のまま使い続けたら、面倒くささ2~3倍アップします。

「マイナンバーカードや健康保険の手続き。面倒だから、しばらく旧姓のまま使ってしまおう。」
そう思われる方もいるかもしれません。こういう手続きって面倒くさいですよね。気持ちはよくわかります。結婚した直後は、他にもやることが山ほどありますから。
でも、おすすめはできません。バレるかどうか、という話ではなく、後回しにすると面倒くささ2~3倍になるからです。
名前の変更をしないで困るのは、あとのご自身です。
- 医療費のお知らせや、健康保険からの書類が旧姓で届く。
- 医療費控除で確定申告をするとき、名義が合わずに戸惑う。
- 高額療養費の申請をするときに、書類の名前がそろわない。
資格情報の氏名と、実際の氏名が違う状態が続くと、このようなことが起こります。あとになるほど、直す面倒さが何倍にも膨らんでいきます。
とくに医療費控除は、1年分をまとめて扱います。途中で名字が変わっているのに手続きをしていないと、あとから確認の手間が増えます。
名字が変わったこと自体は、隠すものではありません。
病院の窓口で名字が変わったことを伝えるのは、まったく普通のことです。
結婚、離婚、養子縁組。理由はさまざまですし、病院窓口では理由を尋ねません。 私も尋ねたことはありません。
必要なのは「今、健康保険の登録がどうなっているか?」、「名前(名字)が変更になるのに、まだ反映されていない。」という情報だけです。
「名字が変わったので、健康保険の手続き中です。」——それだけ伝えていただければ十分です。
旧姓の保険証は、使えなくなりました。

「旧姓の保険証はいつまで使えるか。」よくいただく質問ですが、答えは以前とすっかり変わりました。
結論、紙やカードタイプの健康保険証は、もう使えません。
- 2024年12月2日:健康保険証の新規発行が終了。
- 2025年12月1日:すべての保険証の有効期限が終了。
- 2026年7月31日:期限切れの保険証を使える特例も終了。
ですから、「旧姓の保険証があと何日使えるか」を心配する必要は、もうありません。そもそも、紙の保険証が使える時期が終わっています。
- マイナ保険証をお持ちなら … 名字が変わっても使えます。カードの氏名変更を14日以内に。
- 資格確認書をお持ちなら … 名字が変わったら、新しい資格確認書へ切り替えが必要です。
いま考えるべきなのは、この2つです。
勤務先が変わらないかぎり、健康保険の加入情報そのものに期限はありません。健康保険から脱退になるのは、雇用形態の変更(正社員→パートなど)や退職したとき、扶養に入った、扶養から外れたときです。
よくわからないときは、お勤めの会社で、人事課や総務課など、健康保険の加入手続きをしている部署、担当者さんに「健康保険の加入状況はどうなるのか、どうなっているのか」ご確認ください。
結婚したときの市区町村や会社へ手続き流れ。

- 市区町村で、婚姻届を出す。
- 市区町村で、マイナンバーカードの氏名を書き換える。(14日以内)
- 勤務先に、名字が変わったことを届け出る。
- 勤務先から健康保険(保険者)へ届出。
- 健康保険の加入情報の氏名が新しくなる。更新される。
結婚などで名前が変わったときの流れは、このようになります。
前半、1と2で、市区町村での手続きをします。後半、3で勤務先の手続きができれば、4と5は会社→健康保険へと自動的に進みます。
健康保険によっては、マイナンバーが登録されていれば、氏名変更の届出を省略できる場合があります。 ご自身の勤務先がどうなっているかは、担当者の方に聞いてみてください。
3から5にどれくらい時間がかかるかは、別の記事でくわしく書いています。こちらをご覧ください。
→結婚して名字が変わったら、保険証はいつ切り替わる?資格確認書が届くまでの受診方法。はこちら
健康診断のとき、保険は対象外。組合の補助などある場合は申告しましょう。

健康診断は、保険を使う診療ではありません。なので、マイナ保険証や資格確認書の氏名変更とは少し事情が違います。
ただ、健康保険組合の補助を受けて受ける健診の場合は、健康保険の加入者かどうかの確認があります。このとき、名字が変わったばかりだと、名簿の名前と一致せずに手間取ることがあります。
健診を予約するときに、「○○→○○に、名字が変わりました。」と先に伝えておくと確実です。旧姓での予約になっているなら、そのことも伝えてください。
よくある質問。
- 旧姓のマイナンバーカードのまま、病院に行けますか。
- 読み取り自体はできます。 利用者証明用電子証明書は、氏名変更では失効しないためです。
ただし、カードの氏名変更は14日以内に届け出る必要があります。 「使えるから」と放置せず、早めに市区町村で手続きをしてください。
- 健康保険の手続き中だったので、全額払ってしまいました。返してもらえますか。
- 返してもらえます。
同じ月のうちにマイナ保険証や新しい資格確認書を病院へ持っていけば、その場で差額を返してくれることが多いです。月をまたいだ場合は、加入している健康保険に7割分を返金してもらう申請をしてください。
領収証は必ず取っておいてください。
- マイナンバーカードに旧姓を併記できると聞きました。
- できます。結婚などで名字が変わった場合、新姓のほかに、旧姓をマイナンバーカードや住民票に併記する制度があります。
仕事で旧姓を使い続ける方に向けた制度です。併記していても、健康保険の氏名変更の手続きは別に必要です。
- 資格確認書は、自分で申請するのですか。
- 原則として申請は不要で、マイナ保険証をお持ちでない方には交付されます。氏名が変わったときの手続きについては、加入している健康保険にご確認ください。
- 結婚して仕事を辞め、夫の扶養に入ります。同じ話ですか。
- 違うお話になります。
名字が変わるだけでなく、加入する健康保険そのものが変わります。ご自身の資格がいったんなくなり、配偶者の健康保険に入り直すことになるので、手続きが終わるまでは資格確認ができない期間が生まれます。
→保険証が手続き中で手元にないとき、3割負担で受診する方法はこちら
→転職した時の保険証はいつもらえる?3割負担で病院受診する方法。はこちら
まとめ。名前が変わったら早めに手続きしましょう。

- マイナ保険証なら、氏名変更の手続き中でも受診できる可能性があります。利用者証明用電子証明書は氏名変更で失効しませんし、健康保険には継続して加入されています。
- ただし、病院やマイナポータルで表示される名前は、保険者の処理が終わるまで旧姓のままです。
- 資格確認書の場合は、旧姓のままだと使えないことがあります。全額お支払いいただいても、あとから3割に戻せます。
- 手続きは2つあります。マイナンバーカードの氏名変更(市区町村・14日以内)と、健康保険の氏名変更届(勤務先)。
- 紙の健康保険証は、もう使えません。
窓口で「名字が変わりました。健康保険の手続き中です。」と伝えるのは、まったく普通のことです。言いにくいことでも、恥ずかしいことでもありません。この一言があるだけで、病院も動きやすくなります。
そのうえで、マイナ保険証での本人確認をしたり、旧姓の資格確認書を提示してください。お会計保留や一度10割負担でお支払いなど、病院によって対応が変わります。
でも、ひとつ、安心してほしいことは、「健康保険に加入されていれば、必ず3割負担になる。」ということです。
別の記事でも解説していますので、もしよければ合わせてご覧ください。
→保険証が手続き中で手元にないとき、3割負担で受診する方法はこちら
→10割負担を健康保険に7割返還してもらう方法。協会けんぽを例に解説。はこちら
この記事の根拠
1. 電子証明書の失効について
公的個人認証サービス ポータルサイト「転居や氏名の変更等」
https://www.jpki.go.jp/procedure/change_item.html
2. マイナンバーカードの記載事項変更について
マイナンバーカード総合サイト「記載内容に変更があったときは」
https://www.kojinbango-card.go.jp/faq_change1/
3. 旧氏(旧姓)の併記について
総務省「住民票、マイナンバーカード等への旧氏の併記について」
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/kyuuji.html
※2026年8月24日に確認しています。制度は変わることがありますので、最新の内容は各サイトでご確認ください。
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