70歳以上の患者さんの高額療養費は、69歳以下とは区分も限度額も違います。
所得に応じて6つの区分に分かれていて、「外来+入院(世帯ごと)」と「外来だけ(個人ごと)」の2種類の限度額があるのが特徴です。
私は元医療事務として、高齢の患者さん・ご家族の方の窓口対応をたくさんしてきました。
この限度額が、2026年8月から引き上げられました。
ここで大事なポイントが1つあります。高額療養費は、診療を受けた翌月1日から2年間さかのぼって申請できます。
- 2026年8月以降の診療分 → 新しい限度額
- 2026年7月までの診療分 → 7月までの限度額
そのため、診療を受けた時期によって適用される限度額が変わります。7月と8月で、月をまたぐ入院の場合は、上限金額が別計算になりますので、ご確認ください。
そこでこの記事では、2026年8月からの限度額と2026年7月までの限度額の両方を載せています。ご自身が医療を受けた時期に合わせてご覧ください。
※この記事は70歳以上の患者さん向けです。69歳以下の患者さんはこちらをご覧ください。
2026年度、医療費が値上がりします。
2026年8月からの限度額。(外来+入院・世帯ごと)

70歳以上の患者さんが、外来と入院を合わせて支払った場合の、世帯ごとの自己負担限度額です。(2026年8月以降の診療分)
| 区分 | 年収の目安 | 1〜3回目の限度額 | 4回目以降(多数回該当) |
|---|---|---|---|
| 現役並みⅢ | 約1,160万円〜 | 270,300円+(総医療費−901,000円)×1% | 140,100円 |
| 現役並みⅡ | 約770〜1,160万円 | 179,100円+(総医療費−597,000円)×1% | 93,000円 |
| 現役並みⅠ | 約370〜770万円 | 85,800円+(総医療費−286,000円)×1% | 44,400円 |
| 一般 | 〜約370万円 | 61,500円 | 44,400円 |
| 低所得者Ⅱ | 住民税非課税世帯 | 25,700円 | 24,600円 |
| 低所得者Ⅰ | 住民税非課税世帯(所得が一定以下) | 15,700円 | - |
※「総医療費」は、保険適用となる医療費の全額(10割)のことです。
※現役並みⅢ・Ⅱ・Ⅰは、計算式で求めます。計算方法はこちらでくわしく解説していますので、参照ください。現役並みⅢ・Ⅱ・Ⅰは、区分ア・イ・ウと同じ計算式なので、区分表示が違うだけです。
2026年8月からの限度額。(外来だけ・個人ごと)

70歳以上の患者さんには、入院せず外来だけを受診した場合の、ひとりずつ(個人ごと)の限度額もあります。これを「外来特例」といいます。
| 区分 | 外来だけの限度額(個人ごと) |
|---|---|
| 現役並みⅢ・Ⅱ・Ⅰ | (外来特例なし。上の世帯ごとの限度額で計算。) |
| 一般 | 22,000円(年間上限 216,000円) |
| 低所得者Ⅱ | 11,000円(年間上限 96,000円) |
| 低所得者Ⅰ | 8,000円 |
※「一般」と「低所得者Ⅱ」の外来には、1か月の限度額とは別に「年間上限」があります。1年間(毎年8月〜翌年7月)の外来の自己負担が、この年間上限を超えた分は払い戻されます。
2026年7月までの限度額。(過去の診療分を申請する患者さんへ)

「2026年7月までに受けた診療分」を申請する患者さんは、こちらの限度額が適用されます。高額療養費は2年間さかのぼれるので、2024年8月〜2026年7月の診療分をこれから申請する場合は、下記になります。
→【参考】高額療養費の申請に期限はある?手続きの時期や時効の注意。はこちら
外来+入院(世帯ごと)。
| 区分 | 1〜3回目の限度額 | 4回目以降(多数回該当) |
|---|---|---|
| 現役並みⅢ | 252,600円+(総医療費−842,000円)×1% | 140,100円 |
| 現役並みⅡ | 167,400円+(総医療費−558,000円)×1% | 93,000円 |
| 現役並みⅠ | 80,100円+(総医療費−267,000円)×1% | 44,400円 |
| 一般 | 57,600円 | 44,400円 |
| 低所得者Ⅱ | 24,600円 | - |
| 低所得者Ⅰ | 15,000円 | - |
外来だけ(個人ごと)。
| 区分 | 外来だけの限度額 |
|---|---|
| 一般 | 18,000円(年間上限 144,000円) |
| 低所得者Ⅱ・Ⅰ | 8,000円 |
多数回該当(4回目以降)について。

直近12か月の間に3回以上、高額療養費の限度額に達すると、4回目からはさらに限度額が下がります。これを「多数回該当」といいます。長く治療を続ける患者さんへの負担軽減の仕組みです。
上の表の「4回目以降」がその金額です。この多数回該当の限度額は、2026年8月の改正後も据え置き(変更なし)です。
回数の数え方については、こちらでくわしく解説しています。
2026年8月から「年間上限」が新しく導入されました。

2026年8月から、70歳以上の患者さんにも新しく「年間上限」が始まりました。
これは、1年間(毎年8月〜翌年7月)の自己負担を合計して、一定の金額を超えた分が払い戻される仕組みです。毎月少しずつ医療費がかかる患者さんへの配慮です。
| 区分 | 年間上限額(2026年8月から) |
|---|---|
| 現役並みⅢ | 168万円 |
| 現役並みⅡ | 111万円 |
| 現役並みⅠ | 53万円 |
| 一般 | 53万円 |
| 低所得者Ⅱ | 29万円 |
| 低所得者Ⅰ | 18万円 |
※この「年間上限」は、外来だけの限度額(外来特例)の年間上限とは別のものです。外来特例は「外来のみ・個人ごと」、こちらの年間上限は「外来+入院・世帯ごと」の年間合計に対するものです。
年間上限のくわしい仕組みは、こちらの記事でまとめています。
→高額療養費が2026年8月から引き上げ!限度額はいくら?はこちら
マイナ保険証なら自動で計算されます。

マイナンバーカードを健康保険証として使っている場合、所得区分が自動的に病院に伝わるため、窓口での支払いが自動的に限度額までで止まります。
- 「限度額適用認定証」を事前に申請する必要がない。
- 2026年8月以降は、新しい限度額が自動的に適用される。
ただし、ご自身の区分がどれにあたるかは確認しておくと安心です。
限度額適用認定証の申請について。(マイナ保険証を使わない患者さんへ)

マイナ保険証を使わない患者さんは、事前に「限度額適用認定証」を申請しておくと、窓口での支払いが限度額までで済みます。
特に、住民税非課税世帯(低所得者Ⅱ・Ⅰ)の患者さんは注意が必要です。「限度額適用・標準負担額減額認定証」を申請しないと、一般区分(より高い限度額)で計算されてしまいます。 該当する患者さんは、忘れずに申請してください。
- 現役並み所得者の患者さん:「限度額適用認定証」を申請。
- 住民税非課税世帯の患者さん:「限度額適用・標準負担額減額認定証」を申請。
- 申請先:加入している健康保険。(後期高齢者医療制度など)
申請していなくても、後日「高額療養費の還付申請」をすれば、限度額を超えた分は戻ってきます。
よくある質問。
患者さん・ご家族の方からよくいただくご質問にお答えします。
- Q. 2026年8月をまたぐ入院は、どちらの限度額ですか?
- 診療を受けた月で決まります。2026年7月までの診療分は7月までの限度額、2026年8月以降の診療分は新しい限度額です。月をまたぐ入院は、月ごとに分けて計算します。
- Q. 「外来だけの限度額」と「外来+入院の限度額」は何が違うのですか?
- 70歳以上の患者さんには2つの限度額があります。「外来だけ」は、入院せず外来のみを受診したときの、ひとりずつ(個人ごと)の限度額です。「外来+入院」は、入院も含めた世帯全体の限度額です。まず外来だけで計算し、入院もある場合は世帯で合算します。
- Q. 年間上限が2つあると聞きました。違いは何ですか?
- 70歳以上には「外来特例の年間上限」(外来のみ・個人ごと。一般で216,000円)と、2026年8月から新設された「年間上限」(外来+入院・世帯ごと。一般で53万円)の2つがあります。対象とする費用の範囲が違います。
- Q. 住民税非課税世帯なのに、申請しないとどうなりますか?
- 限度額適用・標準負担額減額認定証を申請しないと、窓口では一般区分(より高い限度額)で計算されてしまいます。入院したときは、食事代も一般世帯として計算されます。
マイナ保険証を使えば自動で正しい区分になりますが、使わない患者さんは申請をお忘れなく。
- Q. 自分の区分がわかりません。
- 加入している後期高齢者医療制度などで確認できます。高額療養費の区分の決まり方はこちらで解説しています。
→高額療養費の区分の決まり方。はこちら
まとめ:診療を受けた時期で限度額を確認しましょう。

70歳以上の高額療養費の限度額について、ポイントを整理します。
- 限度額は6区分。「外来+入院(世帯ごと)」と「外来だけ(個人ごと)」の2種類がある。
- 2026年8月から限度額が引き上げられた。
- 高額療養費は2年さかのぼれるので、診療を受けた時期の限度額を確認する。
- 多数回該当(4回目以降)は、変更なし。
- 2026年8月から「年間上限」が新設された。
- 住民税非課税世帯の患者さんは、認定証の申請を忘れずに。(マイナ保険証なら自動)
70歳になると、高額療養費のほかに、自己負担割合や高齢受給者証が増えたり、健康保険の変更もあります。こちらも参考になれば幸いです。
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