高額療養費制度は、高額療養費を使った回数によって、限度額が更に下がります。
たとえば、区分ウの患者さんの場合、患者さんの自己負担限度額がこのようになります。
- 1回目から3回目までは、80,100円+1%、です。
- 4回目から12回目までは、44,400円、です。
この高額療養費の回数は、「過去1年以内(過去12か月以内)に何回、高額療養費を適用させたのか?」です。
- どういうときに1回とカウントされるのか。
- 過去1年とは、いつからいつのことなのか。
- 年末や年度末に一度リセットされてしまうのか。
というご質問をよくいただくので、今回はお答えします。
このページでは、高額療養費の対象期間、回数の数え方を解説していきます。
高額療養費は診療月を含めて過去1年以内に使った回数で限度額が変わります。
高額療養費は過去1年間で3回、高額療養費制度を使っていたら、4回目からは限度額が約半額になる。という決まりがあります。
過去1年間とは、高額療養費制度を利用したい診療月を含めて、12か月以内のことです。
なので、前年の同じ月は、高額療養費を使っていても1回として数えません。昨年の同じ月を含めると、13か月になるからです。(この記事の下でもう一度ご説明しています。)
6月分なら、昨年7月から今年6月の12か月、となります。12か月間で、高額療養費制度を3回適用させていたら、4回目から12回目までは、更に限度額が減ります。
「過去1年間(過去12か月間)で、高額療養費制度を使った回数」で病院医療費の限度額が変わります。年末年始や年度変わりも、関係ありません。(この記事の下でもう一度ご説明しています。)
【1回目】2022年6月分なら2021年7月から高額療養費制度の利用回数を数える。
上の図でいう、80,100円のところにある黄色い線が、高額療養費の限度額ラインです。
例えば、毎月病院にかかっていて、医療費を支払っているとします。すると今回6月は、80,100円越えたら、高額療養費制度の対象になります。
この場合、6月分の医療費を高額療養費で安くしたいので、去年の7月から回数を数えます。2022年6月分なら「2021年7月~2022年6月」で何度、高額療養費制度を使ったのか?です。
上の図、前年7月から月別の医療費をみると、黄色い線を越えた月はありません。なので、今年6月分は1回目、という数え方になります。
【4回目】過去12か月以内に高額療養費を使っていたら4回目から限度額が約半額になる。
上の図の黄色い線とオレンジの線は、高額療養費の限度額を意味します。
- 80,100円の黄色い線は、高額療養費1回目から3回目まで。
- 40,000円と50,000円の間(44,400円)、オレンジの線は、高額療養費の4回目まで。
今年6月分の高額療養費なら、前年7月から数えて、3回黄色い線を越えていたら、4回目からは約半額になります。
図でいうと、昨年7月、8月、9月は黄色い線を越えています。7月が1回目、8月が2回目、9月が3回目、と高額療養費をカウントして、オレンジの線から上の6月分は4回目です。
4回目から12回目は「多数回」といい、何度も高額療養費制度を利用していることを意味します。
多数回該当のときは黄色い線(1回~3回の限度額)まで、高額な医療費になってなくても大丈夫です。4回目以降の金額以上なら安くなります。
医療費が3割負担で50,000円は、1回目の場合、高額療養費を使えません。しかし、4回目は、44,400円以上になっているので、高額療養費を適用して44,400円になります。
また、「高額療養費で約半額になる「多数該当」は4回目も含まれるのか?」とよくご質問をいただきます。
この多数回も、高額療養費の1回としてカウントして、50,000円→44,400円に医療費が安くなります。
過去1年以内は過去12か月以内のこと。昨年の同じ月は過去12ヶ月に入らない。
過去1年以内(過去12か月以内)で高額療養費の回数を数えるとき、「去年高額療養費を使って安くした。ちょうど1年くらい前だった。」という患者さんが多いです。
8月に「去年の夏に高額療養費で入院代が安くなった。手術して確か3か月くらい入院してたよ。だから今月4回目になるんじゃない?」と患者さんから言われることがあります。
調べてみると、確かに6月、7月、8月の入院医療費が高額療養費の適用済み。患者さんの仰ることは合っています。
ですが残念ながら、今年8月の高額療養費は、昨年9月から今年8月までの12か月です。なので、このような場合、高額療養費の回数は1回目に戻ってしまいます。
今年6月の医療費に対して高額療養費を使うなら、前年の7月から数えるので、前年の6月は対象外になるのです。
- 2022年6月なら「2021年7月~2022年6月」の12か月。
- 2022年7月なら「2021年8月~2022年7月」の12か月。
- 2022年8月なら「2021年9月~2022年8月」の12か月。
1か月ずつずれていくだけで、毎月同じことです。
今年6月の過去1年間だから去年の6月から、などと思われている患者さんも多くいらっしゃいますが、今年6月の場合、昨年7月から、です。前年の同じ月(昨年6月)を含めたら13か月になりますので。
ややこしく、勘違いされがちなことなのですが、過去1年間は、過去12か月間です。前年の同月は高額療養費の回数を数える期間から対象外です。
回数は「去年の1月~12月」や「4月~翌年3月まで年度」でリセットされない。
- 「高額療養費の過去1年ってことは、去年の1月~12月のこと?」
- 「年度で回数がリセットされることもあるの?」
と患者さんからよく質問をいただきます。
「年末12月まで」、「年度末3月まで」、ということは、一切関係ありません。
「11月に入院して予定では3か月で退院と言われたけど、1月は1回目に戻るのかと思った。」
- 2021年11月、1回目、
- 2021年12月、2回目、
- 2022年1月、3回目、
- 2022年2月、4回目
11月に入院した場合、このようにカウントしていきます。高額療養費の回数は、12か月です。
しかし、2021年(令和3年)、2022年(令和4年)という1年ごとの決まりはないです。
「3月は年度が変わるから、手術するなら、3月じゃなくて4月にした方がいいんだろうか。」
- 2022年3月(2021年度)、1回目、
- 2022年4月(2022年度)、2回目、
- 2022年5月(2022年度)、3回目、
- 2022年6月(2022年度)、4回目
3月に入院して手術した場合、このように回数を数えてしていきます。
2021年度(令和3年度)から2022年度(令和4年度)に、年度が変わっても、高額療養費の回数は変わらずカウントが続きます。
年末、年度末になるとお問い合わせを頂きますが、どちらも変わりません。高額療養費の回数には、2022年1月から12月までの1年ごと、2022年4月から2023年3月まで年度別、というものはありません。
高額療養費に関していえば、12月や1月、3月と4月など、年末や年度末で回数がリセットになることはないです。ご安心してください。
高額療養費の回数について、数え方や多数回など、別の記事でも解説しています。患者さん、ご家族のお力になれれば幸いです。
→限度額適用認定証を継続申請した時の数え方。回数がリセットされる?はこちら
→高額療養費の多数回に該当しない場合。半年に1回や1年前の入院など。はこちら
高額療養費制度については別の記事でまとめてありますので、参考になれば幸いです
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