高額療養費制度は、区分アから区分イ、区分ウ、区分エ、区分オまで、5つにわかれています。
区分ア、区分イ、区分ウは、「ある一定の限度額と×1%」が、患者さんの自己負担額になります。
この1%によって若干の変動があるために、「区分ウの患者さんは、○○円ですよ。」というはっきりした金額をお伝え出来ません。
また、「総医療費から決められた金額を引いた答えに×1%」なので、余計に混乱されるのではないでしょうか。普通に病院を受診して3割負担の医療費を提示されたら、総医療費なんて気にしないし、無理もないです。
なので、高額療養費の計算方法を知りたい患者さんのために、実際に数字を当てはめて、解説していきます。わかりやすいように、区分ア、区分イ、区分ウで、それぞれの計算式で限度額をだしてみましょう。
また、区分エ、区分オは定額で上限が決まっているので、計算の必要がありません。一定額以上の医療費にはならないので、心配いらないです。
区分の計算式で高額療養費を使ったとき、患者さんの限度額をだします。

はじめに、高額療養費の限度額は、冒頭でも書いた「ある一定の限度額と×1%」という計算式があります。
- 区分アの限度額を出す計算式は、252,600円+(総医療費-842,000円)×1%。
- 区分イの限度額を出す計算式は、167,400円+(総医療費-558,000円)×1%。
- 区分ウの限度額を出す計算式は、80,100円+(総医療費-267,000円)×1%。
高額療養費の計算には、総医療費というものが必要になります。※総医療費は、簡単にいうと、10割の医療費のことです。
このページでは、計算しやすいように、総医療費(10割の医療費)を100万円として計算していきます。3割負担で30万円の自己負担限度額になります。※100万円=1,000,000円。
- 区分アの限度額を出す計算式は、252,600円+(1,000,000円-842,000円)×1%。
- 区分イの限度額を出す計算式は、167,400円+(1,000,000円-558,000円)×1%。
- 区分ウの限度額を出す計算式は、80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%。
なので、「1か月の医療費が3割負担で30万円になったとき、高額療養費を使うと、いくらになるのか?」という計算をしていきます。※入院も外来も同じです。
高額療養費の区分アだったら、医療費は「254,180円」です。

区分アの患者さんが使う計算式はこちら。
「252,600円+(総医療費-842,000円)×1%」
では総医療費に1,000,000円を置き換えます。
「252,600円+(総医療費-842,000円)×1%」
↓
「252,600円+(1,000,000円ー842,000円)×1%」
総医療費がわかりましたので、カッコ内の引き算から始めます。
「(1,000,000円ー842,000円)」
↓
「(158,000円)」
元の区分アの計算式に戻ってみましょう。カッコ内を引き算した結果に入れ替えます。カッコは、足し算や掛け算よりも一番先に計算するためにつけてあるので、ここでカッコをはずします。
「252,600円+(1,000,000円ー842,000円)×1%」
↓
「252,600円+158,000円×1%」
次は後ろの掛け算です。1パーセントの掛け算は、電卓に%ボタンがあれば「×1%」、%ボタンがなければ「×0.01」ででます。
「158,000円×1%」
↓
「1,580円」
もう一度、元の区分アの計算式に戻ります。こうなります。
「252,600円+158,000円×1%」
↓
「252,600円+1,580円」
最後に252,600円と+1%の足し算をするだけです。
「252,600円+1,580円」
↓
「254,180円」
3割負担で300,000円の医療費がかかったとき、「254,180円」が区分アの患者さんの高額療養費利用後の医療費です。
高額療養費の区分イだったら、医療費は「171,820円」です。

区分イの患者さんが使う計算式はこちら。
「167,400円+(総医療費-558,000円)×1%」
では総医療費に1,000,000円を置き換えてみます。
「167,400円+(総医療費ー558,000円)×1%」
↓
「167,400円+(1,000,000円ー558,000円)×1%」
総医療費がわかりましたので、カッコ内の引き算から始めます。
「(1,000,000円ー558,000円)」
↓
「(442,000円)」
元の区分イの計算式に戻ってみましょう。カッコ内を引き算した結果に入れ替えます。カッコは、足し算や掛け算よりも一番先に計算するためにつけてあるので、ここでカッコをはずします。
「167,400円+(1,000,000円ー558,000円)×1%」
↓
「167,400円+442,000円×1%」
次は後ろの掛け算です。1パーセントの掛け算は、電卓に%ボタンがあれば「×1%」、%ボタンがなければ「×0.01」ででます。
「442,000円×1%」
↓
「4,420円」
もう一度、元の区分イの計算式に戻ります。こうなります。
「167,400円+442,000円×1%」
↓
「167,400円+4,420円」
最後に167,400円と+1%の足し算をするだけです。
「167,400円+4,420円」
↓
「171,820円」
3割負担で300,000円の医療費がかかったとき、「171,820円」が区分イの患者さんの高額療養費利用後の医療費です。
高額療養費の区分ウだったら、医療費は「87,430円」です。

区分ウの患者さんが使う計算式はこちら。
「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」
では総医療費に1,000,000円を置き換えます。
「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」
↓
「80,100円+(1,000,000円ー267,000円)×1%」
総医療費がわかりましたので、カッコ内の引き算から始めます。
「(1,000,000円ー267,000円)」
↓
「(733,000円)」
元の区分アの計算式に戻ってみましょう。カッコ内を引き算した結果に入れ替えます。カッコは、足し算や掛け算よりも一番先に計算するためにつけてあるので、ここでカッコをはずします。
「80,100円+(1,000,000円ー267,000円)×1%」
↓
「80,100円+733,000円×1%」
次は後ろの掛け算です。1パーセントの掛け算は、電卓に%ボタンがあれば「×1%」、%ボタンがなければ「×0.01」ででます。
「733,000円×1%」
↓
「7,330円」
もう一度、元の区分アの計算式に戻ります。こうなります。
「80,100円+733,000円×1%」
↓
「80,100円+7,330円」
最後に80,100円と+1%の足し算をするだけです。
「80,100円+7,330円」
↓
「87,430円」
3割負担で300,000円の医療費がかかったとき、「87,430円」が区分アの患者さんが高額療養費利用後の医療費です。
この流れで、総医療費(10割の医療費)を変えれば、金額や診療月、区分が変わっても、何回でも計算できます。
総医療費を見間違え、入れ間違えしないように気を付けて、ひとつずつ計算すれば限度額をだせます。数学のテストのように、時間制限があるわけじゃないです。このページをみながら、紙に書いて落ち着いて計算してみてください。
もし、この高額療養費の計算が難しいようなら、こちらの記事がオススメです。病院窓口で支払った金額や高額療養費の区分を入力するだけで限度額が表示されます。
→「高額療養費の計算ができない!」安くなる金額が一発でわかるサイト。はこちら
高額療養費制度については、別のページにまとめてあります。高額療養費の対象や、回数の数え方、ご家族の医療費を合算するなど、お役に立てれば嬉しいです。
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