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1か月に2回入院したとき、高額療養費の計算は合わせて限度額まで。

医療費高額療養費1か月2回入院計算1

違う病気で1か月に2回入院することになったり、再入院を繰り返すがん患者さんは、1か月に何回も限度額適用認定証を使えるのか心配になりますよね。

  • 「検査と手術で1か月に2回入院した。1回ずつ限度額適用認定証を使うの?」
  • 「一度退院したら高額療養費の対象外になるんじゃないかな?」

と、私も患者さんからよく聞かれます。

高額療養費は、病院ごとに1か月分ずつ合計して計算します。

入院する病院が2回とも同じ病院なら、1回目の入院費と2回目の入院費を足して、1か月の限度額までになるのです。1回目と2回目の病名が違っても、病院ごとに1か月分なので合計します。

このページでは、1か月に2回入院したときの高額療養費の計算をご説明します。「1か月に2回入院したときどう計算するのか?」についても、3つのパターンで書いていきますので、落ち着いてゆっくり読んでいただけたら幸いです。

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高額療養費は、複数回の入院費も、1か月ごとの医療費として合算して計算します。

限度額適用認定証や還付手続きなどの高額療養費制度は、1か月に同じ病院に2回以上の入院したときは、合わせて高額療養費を利用して安くなります。

  • 「月初めに検査入院をして、病理結果が甲状腺癌だったから、月末に手術で再入院をする。」
  • 「肺炎で2泊3日の入院をした後で、階段から落ちて骨折。緊急入院の緊急手術になった。」

上記は、どちらも2回分を合わせて高額療養費を使えます。

1日や2日など短期でも、1週間と2週間など長期でも、入院期間は関係ありません。

高額療養費でいう1か月とは、1日~月末(28日、29日、30日、31日)までのこと、を言います。

8月30日~9月7日までが1回目の入院、9月17日~10月5日までが2回目の入院。という患者さんの場合は、9月1日~7日までと、9月17日~30日までで、合計3週間分の入院費を合計して高額療養費の対象や金額を計算します。

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1か月間に、2回入院した月の高額療養費の計算を3例。

医療費高額療養費1か月2回入院計算1

さて、それでは「1か月に2回の入院をされた時は、どういう計算になるのか?」を解説します。

  • 1か月の入院費が10割で2,000,000円(200万円)
  • 健康保険を使って3割負担で600,000円(60万円)
  • 高額療養費の適用後は「97,430円」
  • 高額療養費の区分は、「区分ウ」。一般課税世帯。

↑今回はわかりやすくするため、高額療養費の計算結果は全て同じになるように、金額設定をしました。なので、グラフ画像の高さも一致しています。

→高額療養費の区分についてはこちら。

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1か月に2回入院する患者さんでも、1回目の入院で限度額を超えるか超えないかで、高額療養費の計算が変わります。(※結果は同じです。)

なので今回は、2回目の入院がなかった(入院1回)場合を含めて、3パターンを書いていきます。

パターン1は、入院が1回だけだったときの高額療養費の計算。※2回目の入院なし。

パターン2は、1回目の入院で既に限度額を超えて、更に2回目の入院をしたときの高額療養費の計算。

パターン3は、1回目の入院では限度額を超えなかった。更に2回目の入院をした場合の高額療養費の計算。

です。ゆっくりとご覧ください。

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【パターン1】1か月に1回の入院だった場合。2回目の入院はしなかった。

パターン1は、2回目の入院がなく、入院1回で単純な計算です。

10割負担で2,000,000円(200万円)
3割で600,000円(60万円)
高額療養費(区分ウ)を使って、患者さんの自己負担額は、97,430円になります。

区分ウの計算式は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」

この計算式に総医療費2,000,000円を当てはめると、こちらになります。
→80,100円+(2,000,000-267,000円)×1%

カッコ内の計算をした結果、1,733,000円になります。
→2,000,000円-267,000円=1,733,000円

元の区分ウの計算式に戻って、カッコ内を入れ替えます。カッコ内の計算が終わったので、ここでカッコをはずします。
→80,100円+1,733,000×1%

次は後ろの掛け算をします。
→1,733,000×1%=17,330円

元の区分ウの計算式に戻って、後ろの掛け算に結果を入れ替えます。
→80,100円+17,330円

あとは足し算をして終わりです。
→97,430円

これがパターン1。入院1回(2回目の入院なし)で高額療養費(区分ウ)の計算です。高額療養費の他のページでも解説されてあるような、なんとなく見覚えのある流れではないでしょうか。

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【パターン2】1か月2回の入院。1回目で限度額(80,100円)を超えている場合。

パターン2は、1回目の入院で限度額を達しているので、2回目は1%だけの医療費負担になります。つまり、1回目の入院も、2回目の入院も高額療養費の計算をします。

入院医療費の設定内訳、1回目
10割で1,000,000円(100万円)
3割で300,000円(30万円)
高額療養費(区分ウ)を使って、患者さんの自己負担額は、87,430円になります。

入院医療費の設定内訳、2回目
10割で1,000,000円(100万円)
3割で300,000円(30万円)
高額療養費(区分ウ)を使って、患者さんの自己負担額は、87,430円になります。

3割負担のままだと、600,000円(60万円)の入院費用です。それぞれ高額療養費を使っても、174,860円です。

ですが、1回目の入院と2回目の入院を合わせて、高額療養費を利用した金額は、97,430円になります。その計算を解説します。

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まずは1回目の入院から、高額療養費の計算をしていきますね。

区分ウの計算式は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」

この計算式に総医療費1,000,000円を当てはめると、こちらになります。
→80,100円+(1,000,000-267,000円)×1%

カッコ内の計算をした結果、733,000円になります。
→1,000,000円-267,000円=733,000円

元の区分ウの計算式に戻って、カッコ内を入れ替えます。カッコ内の計算が終わったので、ここでカッコをはずします。
→80,100円+733,000円×1%

次は後ろの掛け算をします。
→733,000×1%=7,330円

元の区分ウの計算式に戻って、後ろの掛け算に結果を入れ替えます。
→80,100円+7,330円

あとは足し算をして終わりです。
→87,430円

1回目の入院費、3割負担で300,000円に高額療養費を使って、87,430円になりました。計算の流れとしては、ここまではパターン1と同じです。

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さて、では2回目の入院費について、高額療養費の計算をしていきます。

区分ウの計算式は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」

2回目の入院費は、まず1回目の入院費と合わせて、1か月の患者さんの自己負担額を計算します。

なので、総医療費に数字を入れるために、1か月(2回の入院)で10割の医療費がいくらなのか?を計算します。

1回目の入院で、10割の医療費が1,000,000円(100万円)
2回目の入院で、10割の医療費が1,000,000円(100万円)

入院2回合わせて、1か月の10割の医療費は2,000,000円(200万円)です。

では区分ウの計算式に総医療費2,000,000円を当てはめます。
→80,100円+(2,000,000-267,000円)×1%

カッコ内の計算をした結果、1,733,000円になります。
→2,000,000円-267,000円=1,733,000円

元の区分ウの計算式に戻って、カッコ内を入れ替えます。カッコ内の計算が終わったので、ここでカッコをはずします。
→80,100円+1,733,000円×1%

次は後ろの掛け算をします。
→1,733,000円×1%=17,330円

元の区分ウの計算式に戻って、後ろの掛け算に結果を入れ替えます。
→80,100円+17,330円

あとは足し算をして終わりです。
→97,430円

この97,430円が、1か月(入院2回)の患者さんの自己負担額になります。高額療養費の計算としては、ここまでは1回目の入院やパターン1のときと似ていますね。

ただし、1回目の入院で、87,430円はお支払い済ですよね。なので、1か月の患者さんの自己負担額(97,430円)から、1回目の入院のお支払い金額(87,430円)を引きます。
→97,430円ー87,430円=10,000円

2回目の入院費は、3割負担で300,000円でしたが、高額療養費を利用して(1回目の入院費を差し引いて)、10,000円になりました。

これがパターン2。1回目の入院で限度額を超えたときの高額療養費(区分ウ)の計算です。1回目の入院で限度額を超えているので、87,430円。2回目の入院では高額療養費を使った上で1回目の入院費を差し引いた結果が自己負担額になります。

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【パターン3】1か月2回の入院。1回目で限度額(80,100円)を超えなかった場合。

パターン3は1回目の入院で80,100円までかからなかったので、2回目は限度額まで残った分と1%の医療費負担になります。

入院医療費の設定内訳、1回目
10割で200,000円(20万円)
3割で60,000円(6万円)
※高額療養費の対象外

入院医療費の設定内訳、2回目
10割で1,800,000円(180万円)
3割で540,000円(54万円)
高額療養費(区分ウ)を使って、患者さんの自己負担額は、37,430円になります。

3割負担だと600,000円(60万円)の入院費用です。(パターン2と同じです。)1回目はそのまま60,000円で、2回目が高額療養費を使って95,430円。合計155,430円になります。

ですが、1回目の入院と2回目の入院を合わせて、高額療養費を利用した金額は、97,430円になります。その計算を解説します。

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区分ウの計算式は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」

1回目の入院費は、3割負担で60,000円。区分ウの限度額、80,100円を超えていないので、1回目の入院は高額療養費の対象外でした。そのまま60,000円のお支払いになります。

さて、では2回目の入院費について、高額療養費の計算をしていきます。

区分ウの計算式は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」

2回目の入院費は、まず1回目の入院費と合わせて、1か月の患者さんの自己負担額を計算します。

なので、総医療費に数字を入れるために、1か月(2回の入院)で10割の医療費がいくらなのか?を計算します。

1回目の入院で、10割の医療費が200,000円(20万円)
2回目の入院で、10割の医療費が1,800,000円(180万円)

入院2回合わせて、1か月の10割の医療費は2,000,000円(200万円)です。ここから足し算をして97,430円になるまでは、パターン2と同じ計算です。

では区分ウの計算式に総医療費2,000,000円を当てはめます。
→80,100円+(2,000,000-267,000円)×1%

カッコ内の計算をした結果、1,733,000円になります。
→2,000,000円-267,000円=1,733,000円

元の区分ウの計算式に戻って、カッコ内を入れ替えます。カッコ内の計算が終わったので、ここでカッコをはずします。
→80,100円+1,733,000円×1%

次は後ろの掛け算をします。
→1,733,000円×1%=17,330円

元の区分ウの計算式に戻って、後ろの掛け算に結果を入れ替えます。
→80,100円+17,330円

あとは足し算をして終わりです。
→97,430円

この97,430円が、1か月(入院2回)の患者さんの自己負担額になります。ここまでの高額療養費の計算としては、パターン2の計算と同じになります。

ただし、1回目の入院で精算済の医療費が、60,000円ありました。(ここがパターン2との違いです。)なので、1か月の患者さんの自己負担額(97,430円)から、1回目の入院のお支払い金額(60,000円)を引きます。
→97,430円ー60,000円=37,430円

2回目の入院費は、3割負担で540,000円、高額療養費を使って95,430円になるところでした。しかし、1回目の入院費と合わせて高額療養費を利用したことで(1回目の入院費を差し引いて)、37,430円になりました。

これがパターン3。1回目の入院で限度額を超えなかったときの高額療養費(区分ウ)の計算です。

1回目の入院で限度額を超えていないので、そのまま3割負担で60,000円のお支払い。2回目の入院では、高額療養費を使って、1回目の入院費と限度額の差額(80,100円ー60,000円=20,100円)と、入院2回分の1%分が自己負担額になります。

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このように、1か月に2回入院しても、高額療養費を利用後の医療費は、同じ金額になります。

病院ごとに、入院と外来別に、1か月単位で高額療養費の計算をするので、入院が複数回になってもまとめて高額療養費の計算をします。

回数や区分、申請方法など高額療養費に関することは、別のページに記載しております。限度額適用認定証についても解説していますので、参考になると思います。

→保険証や負担割合、種類など、健康保険の疑問を解決します。はこちら

4 COMMENTS

ひぐちかな

はじめまして。

月に入院2回に加え、外来もある場合、計算はどうなりますか?

どちらも、会計時に限度額証明書を、だしています。

返信する
葉月

ひぐちかなさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。
入院と外来がある場合、病院窓口では、一度それぞれの限度額までで計算されます。
入院80,100円+1%。
外来80,100円+1%。です。
更に、1か月の高額療養費80,100円にするためには、健康保険への申請が必要になります。
すると、入院と外来を合わせて、80,100円+1%の計算をしてくれます。
なので、入院と外来で80,100円ずつ支払っていた場合は、健康保険に高額療養費の申請をすると大体80,000円程度が返金してもらえます。
入院と外来の医療費を合わせる詳しい高額療養費の手続き方法は、健康保険に直接お問い合わせください。
ひぐちかなさん、お大事になさってください。
葉月

返信する
津島

教えてください。
大学病院の入院診療費請求書兼領収書、請求日が3月26日から31日
領収印が4月10日の場合は、3月、4月どちらの支払いにカウントされますか?
金額は限度額認定証適応で一部負担金は、82,787
同じく、請求日が4月1日から4月10日、領収印が4月10日金額は限度額認定証
適応で一部負担金は80,861
領収日が同じであれば、合算は出来ないですか?

返信する
葉月

津島さん、はじめまして。
>大学病院の入院診療費請求書兼領収書、請求日が3月26日から31日
>領収印が4月10日の場合は、3月、4月どちらの支払いにカウントされますか?
この場合、3月の支払いにカウントされます。

>領収日が同じであれば、合算は出来ないですか?
高額療養費は領収日ではなく、診療期間で回数のカウントをします。
なので、
3月26日から3月31日で、1回
4月1日から4月10日で、1回
となります。
現状では合算できないですね。

過去1年以内に高額療養費を利用していれば、多数回になり、さらに自己負担額が減る場合があります。

または、3月、4月に外来医療費21,000円以上になっていれば、入院医療費と合算することができます。

2022年4月以降で高額療養費を使っている場合
3月、4月に外来医療費が21,000円以上になっている場合
これらの場合は、還付手続きをすることで自己負担額が減額になります。

還付手続きや入院・外来合算は、こちらの記事も参考になるかと思います。
→高額療養費の還付申請する方法。
→入院と外来、医療費を合算するなら還付申請。

他にご不明点等ございましたら、こちらからお問い合わせください。
→お問い合わせフォームはこちら

津島さん、お大事になさってください。
葉月

返信する

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