「6月から病院をキャンセルするとキャンセル料を取られる」というニュースを見て、不安になっていませんか?
私も元医療事務として、このニュースには「これは誤解されそうだな」と感じていました。実際、あまりに誤解が広まったため、厚生労働省が通知を出し直し、厚生労働大臣がお詫びをする事態になっています。
まず、結論からお伝えします。
キャンセル料がかかるのは「予約料」を取っている一部の病院だけです。(令和6年8月時点で928病院) 普段の通院で予約料を取られていなければ、予約をキャンセルしてもキャンセル料はかかりません。
- キャンセル料がかかるのはどんな病院なのか。
- なぜこれほど誤解が広まったのか。(厚労省の訂正経緯)
- そもそも「予約料」とは何か。
- 自分のかかる病院が対象か確認する方法。
- 子供の急病でキャンセルしたらどうなるのか。
- よくある疑問への答え。
この記事では、2026年6月1日から始まる「病院のキャンセル料」を、元医療事務の目線でやさしくお答えします。安心して読み進めてください。
2026年度、医療費が値上がりします。
【結論】キャンセル料がかかるのは「予約料」を取る病院だけ。

2026年6月1日から、病院の予約をキャンセルしたときに「キャンセル料」がかかる場合があります。
ただし、これはすべての病院・すべての予約が対象ではありません。
対象になるのは、「予約料」を取っている病院で、予約料を払う前提で予約した診察を、自己都合で直前にキャンセルした場合だけです。
厚生労働省によると、予約料付きの診察を実施している病院は令和6年8月時点で928か所。全国の病院は約18万か所ありますから、比べてみるとごく一部です。
簡単な見分け方。
「自分は病院キャンセル料の対象になるの?」と不安な方は、次のように考えてみてください。
例え①:新幹線の自由席と指定席。

無料の予約は、新幹線の 自由席 のようなものです。乗らなくても(キャンセルしても)お金はかかりません。
一方、予約料のある予約は、新幹線の 指定席 のようなもの。席を確保してもらう分、直前にキャンセルすると料金がかかることがあります。
例え②:診察代のほかに「予約料」を払ったことがあるか。

普段の通院で、診察代のほかに「予約料」を取られたことがなければ、まず対象外です。
多くの患者さんは、予約料を払わずに通院されているはずです。その場合、6月以降も予約をキャンセルしてキャンセル料がかかることはありません。
なぜ誤解が広まった?厚労省が通知を訂正・お詫びした経緯。
今回のキャンセル料については、「6月からすべての病院でキャンセル料が取られる。」という誤解が一気に広まりました。
経緯を時系列で整理すると、こうなります。

- 2026年3月27日:「病院がキャンセル料を患者さんに請求できる」ことを、厚生労働省が公式発表。
→厚生労働省の公式文書はこちら - その後、「患者都合の直前キャンセルにキャンセル料」という部分だけが広まり、「すべての病院が対象」という誤解 が拡大。
- 2026年5月29日:厚生労働省が「言葉がわかりにくかった」として 通知を出し直し。
→厚生労働省の公式文書はこちら - 上野厚生労働大臣が「現場に混乱を生じさせたことについて、お詫びを申し上げたい」と陳謝。
厚労省があらためて示した内容。
厚生労働省は、公式X(旧Twitter)でも次のように案内しています。
【6月から予約料付き診察のキャンセル料のルールが変わります】
<患者の皆さまへ>
6/1から、予約料を求められている場合に、予約診察を自己都合でキャンセルするとキャンセル料が発生することがあります。対象は、予約料付き診察を実施する医療機関(令和6年8月時点で928医療機関)で、予約料を支払って受ける診察です。(全ての予約についてキャンセル料が発生するものではありません!)
詳しくは、医療機関のウェブサイトをご確認ください。
つまり、「予約料のない通常の予約では、キャンセル料は発生しない」 ことが、あらためて明確にされました。
そもそも「予約料」とは?国が認めた制度です。
「予約料」と聞いても、ピンとこない患者さん、ご家族の方が多いと思います。実際、ニュースのコメントでも「予約料って何?知らなかった。」という声がたくさんありました。
予約料は「選定療養」という国の制度。
予約料は、「選定療養(保険外併用療養費)」 という、国(厚生労働省)が認めた制度のひとつです。平成18年の改正健康保険法で定められました。
入院時の差額ベッド代などと同じ仲間で、健康保険が対象の医療費と一緒に使える自費の医療費制度です。
ですから、「予約料を取る病院=自由診療の特別な病院」というわけではなく、健康保険が使える普通の病院やクリニックでも、届け出をすれば予約料を取れる仕組みになっています。
予約料を取っているのはどんな病院?

実際に予約料を取っているのは、予約制の専門外来が中心です。たとえば、
- 矯正歯科・審美歯科
- 漢方を専門とするクリニック
- 心療内科・精神科の予約診療
- 不妊治療のクリニック
- 一部の専門クリニックの予約外来
など、「予約をして、決まった時間に優先的に診てもらう」タイプの診察で予約料(有料)が見られます。
予約料の金額の目安。
予約料の金額は病院ごとにバラバラです。
- 15分の予約枠ひとつにつき 2,750円(税込)
- 初診の予約料 7,700円/再診 4,400円(税込)
例として、このような設定があります。
診療科や病院によって大きく異なるので、かかる病院で確認するのが確実です。
自分のかかる病院が対象か確認する方法。
「自分のかかっている病院は、キャンセル料の対象なの?」と気になりますよね。
予約料、キャンセル料の対象になる病院の「名前リスト」は公表されていません。
まず知っておいていただきたいのが、「予約料・キャンセル料を取る病院だけをまとめた一覧」は、患者さん向けには公表されていないという点です。
厚生労働省が発表した「928か所」という数字も、集計結果としての件数であり、どの病院が該当するかを名前付きで一覧にした公式リストはないのです。
そのため、「全国のリストを探して、自分の病院があるか確認する」という方法は、現実的ではありません。
確認は「かかる病院に直接」が一番確実。

その代わり、予約料を取る病院には、料金をわかりやすく明示する義務があります。次の方法で確認できます。
- 病院のホームページを見る(「予約料」「選定療養費」の記載があるか。)
- 院内の掲示を見る(受付や待合室に料金表が貼ってあります。)
- 受付で直接聞く(「予約料はかかりますか?」と一言。)
「全国のリストを探す」よりも、自分が実際にかかる病院に確認するほうが、ずっと確実で早いです。
キャンセル料が請求される条件。
キャンセル料が請求されるのは、次の条件をすべて満たした場合に限られます。
| 番号 | 条件 |
| ① | その病院が「予約料」を取る届け出をしていること。 |
| ② | 患者さんが予約料を払う前提で予約していること。 |
| ③ | 患者さん自身の都合によるキャンセルであること。 |
| ④ | 予約日の直前のキャンセルであること。 |
| ⑤ | 事前に金額・条件が説明され、患者さんが同意していること。 |
逆に言えば、
- 予約料を取らない病院 → 対象外
- 無料の予約 → 対象外
- 病院側の都合(医師の体調不良、設備トラブル)→ 対象外
- 事前に説明・同意がない → 請求できない
ということになります。
急な体調不良・感染症のときは?
ニュースのコメントでも「急にインフルエンザになったときは?」「感染症のときもキャンセル料がかかるの?」という不安の声が多く見られました。
この点について、現時点では 病院ごとの運用に委ねられている のが実情です。
ただ、急な発熱や感染症は「患者さん自身が予測できないやむを得ない事情」にあたるため、多くの病院では配慮してくれると考えられます。
むしろ、感染症の疑いがあるのに無理に受診することは、ほかの患者さんへの感染リスクにつながります。
体調不良でキャンセルする場合は、「急に熱が出てしまって」「感染症の疑いがあって」と正直に、早めに連絡することが大切です。
子供の急病で予約をキャンセルしたら?

「子供の予約をしていたのに、当日の朝に熱が出た」「自分の通院日に子供が急病になった」というのは、子育て家庭ではよくあることです。
ほとんどの場合、心配いりません。
まず安心していただきたいのが、お子さんがかかる小児科や、ご家族がかかる一般的な病院の多くは、予約料を取っていない ということです。
予約料を取っていない病院であれば、6月以降もキャンセル料はかかりません。お子さんの急な発熱で予約をキャンセルしても、料金を請求されることはありません。
予約料のある専門外来を予約していた場合。
もし、矯正歯科や予約制の専門外来など、予約料のある診察を予約していた場合は、念のため次のように対応してください。
- できるだけ早く病院に連絡する。
- 「子供が急に発熱してしまって」と正直に事情を伝える。
急な体調不良はやむを得ない事情ですから、事情を伝えれば配慮してくれる病院が多いと考えられます。連絡なしの「無断キャンセル」が、一番避けたい対応です。
元医療事務の視点:現場のキャンセル事情。

ここからは、私が元医療事務として大規模病院で働いていた経験から、医療現場のキャンセル事情をお話しします。
大規模病院では「キャンセル分は別の人に消費」もありました。
私が勤めていたのは、従業員が1,000人を超える比較的大きな病院でした。あるとき、予防接種のワクチンで「使う予定だったけれど余ったもの」を、別の従業員に打つ場面に遭遇したことがあります。
これは予約のキャンセルが出た結果、ワクチンを廃棄せずに済むよう、他の人に消費していた可能性があります。
このように大規模な病院では、キャンセル分のワクチンや薬剤を別の人に振り向ける機会があるため、廃棄ロスは比較的少なく済んでいたように感じます。
個人病院・クリニックでは廃棄リスクが大きいのではないか。
ところが、これが個人病院や中小規模のクリニックだとどうでしょうか。
- 予約していた患者さんがキャンセル
- 別の患者さんに振り向けられない
- 準備したワクチンや薬剤が廃棄になってしまう
こうした廃棄ロスが、病院の経営や医療資源全体から見ても、決して小さくない問題になっていたのではないか、と推測されます。
あくまで私の経験からの推測ですが、無断キャンセルや直前キャンセルによる医療資源の浪費を防ぎたい、という背景が今回の制度にはあるように感じます。
「無断キャンセル」が現場に与える影響。
予約をすっぽかす「無断キャンセル」は、病院にいくつかの影響を与えます。
- 予約枠が無駄になる。(その時間に他の患者さんを案内できた。)
- 準備した医療資材・薬剤の廃棄。
- スタッフの人件費が無駄になる。
- 後の予約スケジュールが乱れる。
予約料のあるなしにかかわらず、キャンセルや変更は早めに連絡するのが、患者さんと病院の双方にとって望ましいことです。
キャンセル料トラブルを避けるための備え。
新ルールが始まったあとも、安心して病院を利用するための備えをまとめます。
①予約料のある病院か、予約時に確認しておく。
予約制の専門外来などにかかるときは、「予約料はかかりますか?」「キャンセルした場合はどうなりますか?」 と、予約時に確認しておきましょう。
ホームページや院内の掲示でも案内されています。
②同意書にサインする前に内容を読む。
- キャンセル料はいくらか。
- どんなタイミングのキャンセルが対象か。
- 急病など、やむを得ない場合の扱いはどうか。
予約料・キャンセル料に関する同意書へのサインを求められたら、これらを確認してからサインしてください。不明な点は、その場で受付に質問するのが確実です。
③キャンセル・変更は早めに、必ず連絡する。
体調不良などでキャンセルする場合も、できるだけ早く、必ず連絡をしましょう。ご自身で連絡が難しければ、ご家族の方から代わりに連絡してもらえば大丈夫です。
よくある質問。
患者さんやご家族の方からよくいただきそうなご質問にお答えします。
- 「予約料」って何ですか?聞いたことがありません。
- 予約料は「選定療養」という国の制度に基づく料金で、予約制の専門外来などで、診察代とは別に予約に対して支払う料金です。多くの一般的な病院では取っていないため、聞き慣れない患者さんが多いと思います。普段の通院で予約料を払っていなければ、今回のキャンセル料とは無関係です。
- 予約料を取られていない病院なら、キャンセル料はかかりませんか?
- はい、かかりません。今回のルールは「予約料を取る病院」だけが対象です。予約料のない通常の予約では、キャンセルしてもキャンセル料は発生しません。
ただし、無断キャンセルは病院に迷惑がかかりますので、キャンセルや変更は必ず早めにご連絡ください。
- 病院から「次回も来てください」と言われた予約も対象ですか?
- いいえ。医師から指示される「次回予約」は、患者さんの自己都合の予約とは異なります。今回のキャンセル料は患者さんが予約料を払って自分の都合で取った予約が対象です。病院側の都合や指示による予約は対象外です。
- 急な体調不良や感染症のときもキャンセル料がかかりますか?
- 病院ごとの運用によりますが、急な発熱や感染症は「予測できないやむを得ない事情」にあたるため、多くの病院では配慮してくれると考えられます。むしろ無理に受診すると他の患者さんへの感染リスクになります。早めに、正直に事情をお伝えください。
- 安い予約料なのに、高額なキャンセル料を取られることはありますか?
- キャンセル料は「社会通念上、妥当な範囲」で設定することが求められています。病院が自由に高額な金額を設定できるわけではなく、事前の説明と同意も必要です。極端に不当な金額であれば、お住まいの地域の消費生活センターなどに相談することもできます。
- キャンセル料は医療費控除の対象になりますか?
- なりません。医療費控除の対象は「治療や療養のためにかかった費用」に限られ、キャンセル料は治療そのものではないため対象外です。
- キャンセル料はクレジットカードで払えますか?
- その病院がクレジットカード決済に対応していれば、支払える可能性が高いです。金額や支払い方法は病院にご確認ください。
まとめ:病院のキャンセル料、ほとんどの患者さんは心配いりません。

2026年6月1日から始まる病院のキャンセル料について、ポイントを整理します。
- 対象は 「予約料」を取る病院だけ。(令和6年8月時点で928か所)
- 通常の無料予約では、キャンセル料はかかりません。
- 予約料は「選定療養」という国の制度で、予約制の専門外来などで見られる。
- 自分の病院が対象か知りたいときは、ホームページ・院内掲示・受付で確認。
- 急な体調不良・子供の急病は、早めに正直に連絡すれば配慮されることが多い。
- キャンセルや変更は、予約料のあるなしにかかわらず、早めの連絡をしましょう。
「6月からすべての病院でキャンセル料がかかる。」というのは誤解です。ほとんどの患者さんは、これまでどおり安心して病院を利用できます。
ただ、予約のキャンセルは病院にとって負担になります。予約料のあるなしにかかわらず、キャンセルや変更が必要になったら、できるだけ早めにご連絡することを心がけましょう。
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