最近、病院や市役所、各健康保険では、「限度額適用認定証」という患者さん別に、個人で使う高額療養費の方法を案内されています。
ですが、高額療養費には、家族の医療費を合計して、高額療養費を申請する方法もあります。
限度額適用認定証は、80,100円+1%の限度額が、患者さんひとりずつに発生します。しかし、医療費を家族で合算すると、80,100円は1回だけ。あとは1%分だけを支払えばよくなります。
また、ひとりひとりの医療費としては限度額ほどの金額にはなっていないけれども、家族の医療費を足していくと限度額になる場合も、高額療養費の対象となります。
今日は、高額療養費を家族単位で手続きする「世帯合算」とは何か?個人で使う高額療養費とどう違うのか?いくら安くなるのか?ということを、わかりやすく解説していきます。
家族全員分をまとめて、1つの医療費として高額療養費の申請をできます。
高額療養費は、同じ健康保険に加入していれば、ご家族の医療費を合わせて限度額までの負担にできます。
患者さんひとりずつ高額療養費の手続きをすると、家族人数分の限度額がかかってしまいます。
ですが、ご家族の分もまとめて高額療養費の手続きをすると、限度額と+1%だけになります。場合によっては半額以下になるケースもあります。
また、ひとりずつの医療費としては限度額以内で高額療養費の対象外だとしても、ご家族の医療費をまとめると高額療養費の対象となり、医療費を抑えられることもあります。
患者さん個人で高額療養費の計算をするのではなく、同じ健康保険に加入している1世帯ごとに高額療養費の計算をするのです。
このように、家族の医療費を合わせて、高額療養費の手続きすることを、「世帯合算」といいます。
以下、具体例で詳しくご説明します。
「個別」と「世帯合算」で高額療養費申請するイメージ。
個人で高額療養費の申請するときは、ひとりずつ、80,100円ずつ限度額がかかります。
まず、個人よりも家族で高額療養費を利用した場合、どのように、どのくらい安くなるのかをお話します。
- 夫、100,000円→80,763円(80,100円+663円)
- 妻、100,000円→80,763円(80,100円+663円)
- 子供1人目、100,000円→80,763円(80,100円+663円)
- 子供2人目、100,000円→80,763円(80,100円+663円)
↑患者さんひとりずつ個人で、高額療養費を利用するとこうなります。
患者さんひとりずつに、区分ウの限度額「80,100円+1%」の医療費負担がかかります。1人、3割負担100,000円が高額療養費の利用で80,763円、×4人になると、323,052円です。
結果、合計76,948円安くなり、4人で400,000円かかったことを考えれば十分でもありますが・・・。家族の医療費を合わせて、高額療養費の世帯合算にすると、もっと医療費を抑えられます。
- 夫、100,000円→80,763円(80,100円+663円)
- 妻、100,000円→3,334円
- 子供1人目、100,000円→3,333円
- 子供2人目、100,000円→3,333円
↑ご家族4人の医療費を合わせて、高額療養費を利用するとこうなります。
80,100円の限度額は1人だけ、あとの2人は3,333円、小数点以下端数処理で1人だけ3,334円。4人で合計90,763円です。
なので、結果、合計309,237円安くなります。
- 個人で高額療養費の申請をすると、323,052円(-76,948円)
- 家族で高額療養費の申請をすると、90,763円(-309,237円)
1人100,000円、4人で400,000円の医療費がかかった、同じ想定で、こんなにも、232,289円も差がでるのです。
このように、ひとりずつ個人で高額療養費を利用することもできますが、家族で合わせて高額療養費を利用することで、医療費を大きく抑えることができます。
家族(世帯合算)で高額療養費の申請をするときは、全員まとめて、80,100円が1回だけ。
また、ひとりずつの医療費は高額療養費の対象外だけど、家族の医療費を合わせると高額療養費の対象になることもあります。
- 夫、25,000円
- 妻、5,000円
- 子供1人目、30,000円
- 子供2人目、50,000円
医療費をひとりずつ計算して、このような金額になった場合、80,100円未満(※区分ウの限度額)で高額療養費の対象とはなりません。
ですが、同じ健康保険に加入していて、21,000円以上になっていれば、高額療養費の対象として手続きすることができます。
この例では、夫25,000円、子供1人目30,000円、子供2人目50,000円で、合計105,000円なので、高額療養費の申請をできます。また、妻5,000円は、21,000円未満なので、高額療養費の世帯合算に入らないです。
家族3人分の医療費を、高額療養費として手続きすると、105,000円→80,930円に負担を抑えることができます。この場合ですと、-24,070円の医療費を安くするなったことになります。
このように、一見、高額療養費の対象にならないようなときも、同じ健康保険に加入する家族単位でみると、高額療養費の対象となり、医療費を抑えることができます。
家族の医療費を合算する時は、高額療養費の限度額適用認定証は使えない。
家族で医療費をまとめて高額療養費の申請をする「世帯合算」は、限度額適用認定証が使えません。限度額適用認定証は、個人で使える高額療養費の手続き方法なのです。
そのため、高額療養費を家族で合算する場合は、『還付申請(償還払い)』での手続きになります。
個人の医療費は限度額適用認定証で安くしつつ、家族の医療費は還付手続きで安くする。ということは、可能です。
還付手続きで高額分の医療費が払い戻されるまで、2~3か月くらい時間がかかります。なので、ひとりの医療費が高額の場合は、一度、限度額適用認定証を利用した方が、お支払いが楽になりますね。
「還付手続きとは?」という患者さん、ご家族の方は、こちらのページをご覧ください。
→高額療養費の還付手続き(償還払い)とは?3割負担して高額分を戻す方法。はこちら
また、高額療養費の世帯合算には、同じ健康保険に加入していること、1か月21,000円以上であること、という条件があります。詳しくはまた別のページにまとめますので、こちらを参照ください。
→家族の医療費を合わせて申請。高額療養費の世帯合算する条件4つ。はこちら
高額療養費の申請書類を書くのは、よくわからない単語がでてきてお困りのことと思います。しかも世帯合算なんて、なかなか慣れない作業です。
なので、全国健康保険協会で、高額療養費の申請書の書き方については、こちらの記事で解説しています。使う申請書も合わせて、こちらでご案内してますので、参考になさってください。
→協会けんぽの高額療養費還付手続き申請書の書き方。世帯合算の場合。はこちら
加入されている健康保険が全国健康保険協会なら、オンライン上で申請書をダウンロードできます。あとは、記入して送るだけで高額分が戻ってきます。
こちらで申請書をダウンロード、印刷して、上記のリンク先ページで書き方を見ながら記入することも可能です。
- 「限度額適用認定証を申請した方がいいのか?」、
- 「限度額適用認定証を使った方がいいのか?」、
- 「還付手続きの方がいいのか?どちらの方が得なのか?」、
という件については、こちらの記事でご説明しています。入院と外来の話ですが、合算という点では、考え方は同じです。
限度額適用認定証も、還付手続きも、最終的な結果としては、どちらも同じなので、ご安心ください。
→入院と外来、医療費を合算するなら還付申請。高額療養費の申請を1回。はこちら
高額療養費の回数や計算方法については別の記事でご説明しています。こちらのページにまとめてありますので、参考になれば幸いです。
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こんにちは!
とってもわかりやすかったです!
今まで「高額療養費」の疑問で、協会けんぽのHPを読んでも、
理解できなかったことが全部わかりました!
(家族の合算のこととか、多数該当のことなど・・・)
ありがとうございます。(^O^)
こんにちは!
コメントありがとうございます。
わからないことが解決できてよかったです!
医療費のことで何か不明なことがあれば
お問い合わせください^^
しづくさんの疑問にお答えします!