総合病院など大きい病院から、クリニックなど小さい個人病院まで、1か月に複数の病院を受診する患者さんは多いです。
すると、「病院1か所あたりの医療費は、高額療養費の限度額までかからないけど、2か所や3か所、全部合計すると高額療養費の対象になる」ということはありませんか?
高額療養費は基本的にひとつの病院で、1か月に限度額を超えたか、どうか?で考えます。限度額適用認定証も、病院ごとで限度額の計算をします。
ですが、2か所以上の病院代を合計して、高額療養費の対象になる(高額療養費の申請をできる)場合があるのです。
このページでは、2か所以上の病院でかかった医療費をまとめて、高額療養費の対象になる条件をご説明します。
複数の病院代をまとめて高額療養費の申請ができます。
通常、高額療養費は、病院1か所で、1か月の限度額を超えたら使えますよ。という制度です。
なので、病院ごとの医療費が8万円などの限度額を超えていなければ、高額療養費の対象外だ。申請できない(安くならない)。ということになります。
ですが、条件を満たせば、病院が2か所以上になっても、高額療養費の対象となり、限度額までの医療費にすることができます。(つまり、高額療養費で医療費を安くすることができます。)
眼科や整形外科、内科、泌尿器科、皮膚科、外科、歯医者(歯科)など、受診する診療科が違っても、
入院と外来のの区別があっても、
総合病院や大学病院のような大きい病院から、診療所やクリニックのような個人病院まで、病院の規模も関係ありません。
A総合病院に入院したときの医療費と、B皮膚科で治療した医療費、C耳鼻咽喉科で検査したときの医療費など、複数の病院代を合わせて、高額療養費の手続きを使えるのです。(これを、「合算する」ともいいます。)
2か所以上の医療費を合算できるの条件「病院1か所21,000円以上で、合計が限度額以上」
診療科や病院の規模は関係ないと、上記だけだと無条件のように思えます。しかし、2か所以上の病院代をまとめて高額療養費の申請をするには条件が2点あります。それは、
- 病院1か所の医療費が21,000円以上になっていること。
- 複数の病院で医療費の合計が、高額療養費の区分による限度額以上になっていること。
です。
- A総合病院で医療費、21,000円
- B皮膚科医院で医療費、21,000円
- C耳鼻科診療所で医療費、21,000円
- D眼科クリニックで医療費、21,000円
- E整形外科で医療費、21,000円
たとえば、各病院での医療費は「21,000円」でした。病院1か所ずつでみると、一般課税世帯「区分ウ」の限度額(80,100円)を越えていません。なので、病院1か所では高額療養費の対象外になります。
しかし、病院5か所全部の医療費を合計すると、105,000円になります。高額療養費の合算条件に該当するので、高額療養費の対象になるのです。
高額療養費の合算できる条件は「病院1か所が21,000円以上で、合計が区分の限度額以上であること。」です。この2点がクリアできていれば、複数の病院代をまとめて、健康保険に高額療養費申請できます。
高額療養費の合算パターン事例を、こちらの記事でご説明しました。医療費をまとめて高額療養費の申請をできる例3つ、できない例3つ。また、3か所の病院で、1か所だけ21,000円未満だったときの例も解説しています。イメージの参考にどうぞ。
→高額療養費の合算パターン事例集。21,000円未満だった病院は対象外。はこちら
医療費を合算して高額療養費の申請するには還付手続きです。
2か所以上の病院代を合計して高額療養費を適用させるには、還付申請になります。※還付申請(還付手続き)は、各病院に一度3割負担で支払いをして、2~3か月後に高額分を返金してもらう方法です。
限度額適用認定証は、基本的には病院1か所で、限度額以上になった時の高額療養費の手続き方法です。
1か月の医療費が3割負担で105,000円だった時、患者さんの自己負担額は80,930円になります。高額療養費の還付申請をすると、24,070円も健康保険から払い戻しされます。
病院1か所では高額療養費の適用外でも、21,000円以上の病院や調剤薬局を合わせて、区分の限度額を超えるなら高額療養費の対象になります。
還付手続きをしたら、最終的に患者さんの医療費は安くなるので、申請してみてはいかがでしょうか。高額療養費の4回目からは更に限度額が減りますよ。
→高額療養費の還付申請(償還払い)とは?3割負担して高額分を戻す方法。はこちら
この記事に書いている限度額は、一般課税世帯「区分ウ」のことです。区分は、患者さんや家族の収入、所得によって決まります。高額療養費の区分について、詳しくはこちらのページをご覧ください。
→高額療養費の限度額をまとめた一覧。アイウエオ、5つの区分があります。はこちら
外来費と入院費の合わせて、高額療養費の申請する場合は、こちらの記事に書いてあります。
→高額療養費は外来と入院で使える?合算ができる条件は?はこちら
医療費は、家族で合わせて高額療養費を使うこともできます。詳細はこちらの記事をご覧ください。
→医療費を家族で合算する方法。高額療養費の「世帯合算」とは?はこちら
高額療養費制度の記事は、区分や回数など他にもご用意してます。参考になれば幸いです。
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