高額療養費には、限度額適用認定証と還付申請で、手続き方法が2通りあります。すると、「どちらが得なんだろう?どちらで手続きした方が良いんだろう?」と疑問を持たれる患者さんが多いです。
限度額適用認定証も、還付手続きも、高額療養費の計算方法は同じです。なので、患者さんの医療費も一緒になります。
違いとしては、先に手続きをするか、後で手続きをするか、「高額療養費を申請するタイミング」なのです。
このページでは、患者さんが3割負担で300,000円のときを想定して、限度額適用認定証で高額療養費を使った場合と、還付手続きで高額療養費を使った場合を解説しています。
限度額適用認定証と還付申請では、結果的に患者さんの自己負担額は、どちらも同じ金額になります。高額療養費の手続きを迷っているなら、私は限度額適用認定証をおすすめします。
還付申請と限度額適用認定証。高額療養費の最終的な金額は同じです。
- ハガキサイズの証書を申請して、お支払いの時点で安くした医療費にできる「限度額適用認定証」
- 一度、高額分を含めた3割負担を病院で支払って、2~3か月後に高額分が返金される「還付手続き」
『どちらで高額療養費を申請する方が得なのか?』よくご質問をいただきます。
限度額適用認定証の申請も還付手続きも、どちらの手続きをしても、同じ結果になります。
- 患者さんは、限度額までの医療費をお支払い。
- 健康保険は、7割負担の医療費と、患者さんの3割負担から高額分の負担。
- 病院は、患者さんと健康保険から、合わせて10割の医療費を支払ってもらう。
患者さんも、健康保険も、負担する医療費は変わりません。病院も、合計すれば10割のお支払いになります。
限度額適用認定証でも、還付手続きでも、最終的には同じ病院代になるので、どちらも損得の心配がないです。
下記で1つずつ詳しくご説明しますね。
限度額適用認定証は事前に手続きすることで、高額分の負担がなくなります。
まずは「限度額適用認定証」で高額療養費の申請をした場合ですね。
- 患者さんは、限度額までの医療費をお支払い。(患者さんの医療費限度額、87,430円。)
- 健康保険は、7割負担の医療費と、患者さんの3割負担から高額分の負担。(健康保険の負担、912,570円。患者さんの医療費高額分212,570円+7割負担の700,000円。)
- 病院は、患者さんと健康保険から、合わせて10割の医療費を支払ってもらう。(10割、1,000,000円)
患者さんの医療費が3割負担で300,000円だったとします。※3割負担で300,000円のとき、10割の医療費は、1,000,000円です。(還付申請と同じ医療費を想定しています。)
限度額適用認定証を使うことで、患者さんが病院で支払う金額を、3割負担の医療費から高額療養費の限度額まで抑えることができます。すると、患者さんの医療費は300,000円→87,430円になります。
300,000円との差額、212,570円は高額分として、健康保険から病院へ支払ってくれます。
健康保険は元々7割分の医療費負担もありますので、患者さんの3割負担から高額分(212,570円)+7割分(700,000円)で、912,570円になります。
患者さんから限度額までの87,430円と、健康保険から高額分と7割分の912,570円。合計すると、1,000,000円。なので、病院は限度額適用認定証を使っても、患者さんと健康保険から、医療費の10割全額を支払ってもらえます。
限度額適用認定証は、患者さんが病院で支払うときに限度額までの自己負担額にできる、高額療養費の手続き方法です。
高額療養費の限度額適用認定証は、この記事にも書いています。
→高額療養費の限度額適用認定証。事前申請して安い料金で支払う方法。はこちら
還付手続きは一度3割負担で支払いますが、後で高額分が返ってきます。
つぎに、「還付手続き(還付申請、償還払い)」で高額療養費で申請した場合ですね。
- 患者さんは、限度額までの医療費をお支払い。(患者さんの医療費限度額、87,430円。)
- 健康保険は、7割負担の医療費と、患者さんの3割負担から高額分の負担。(健康保険の負担、912,570円。患者さんの医療費高額分212,570円+7割負担の700,000円。)
- 病院は、患者さんと健康保険から、合わせて10割の医療費を支払ってもらう。(10割、1,000,000円)
患者さんの医療費が3割負担で300,000円だったとします。※3割負担で300,000円のとき、10割の医療費は、1,000,000円です。(限度額適用認定証と同じ医療費を想定しています。)
患者さんは、3割負担のまま300,000円を、病院にお支払いします。この300,000円は、限度額の87,430円と高額分の212,570円を合わせた料金で、高額分が含まれています。
なので、健康保険に高額療養費の還付手続きをして、212,570円を戻してもらいます。
患者さんの医療費をまとめると、一度300,000円を負担したとしても、212,570円戻ってきます。
なので、実際に支払った医療費は限度額までの87,430円になります。300,000円-212,570円=87,430円。
健康保険は、患者さんが限度額適用認定証を使わなかったので、7割負担の700,000円を病院に支払います。しかし、後日、患者さんから還付申請を受け取って、212,570円を患者さんに支払っています。
健康保険の負担した金額をまとめると、病院に支払った7割負担の700,000円と、患者さんの還付手続きで212,570円。合わせて912,570円になります。
病院は、患者さんから3割負担の300,000円と、健康保険から7割負担の700,000円。合計で、10割の1,000,000円を支払ってもらっています。
還付手続き(還付申請、償還払い)は、一度高額分も含めて3割負担で病院にお支払いして、後日、健康保険から高額分を戻してもらう、高額療養費の手続き方法です。
高額療養費の還付手続きは、この記事にも書いています。
→高額療養費の還付申請(償還払い)とは?3割負担して高額分を戻す方法。はこちら
【まとめ】高額療養費で患者さんの負担は同じです。損得はありません。
結果、患者さんの医療費は限度額まで、健康保険は高額分と7割分、病院は10割全額で、それぞれ最終的な医療費になります。
還付申請でも、限度額適用認定証でも、高額療養費の計算方法は同じだからです。
先に手続きをするか(限度額適用認定証)、後で手続きをするか(還付申請)。違いは、「高額療養費の手続きをするタイミング」なので、ご安心ください。
限度額適用認定証か還付申請か、どちらの手続きにしようか迷っているなら、患者さんやご家族の方は「限度額適用認定証」を推奨します。
命が助かるとはいえ、限度額の80,000円でも大金です。その上、一時的にでも高額分まで用意しなきゃいけない。しかも高額分がいくらになるかわからないと、医療費が心配で治療にも専念できませんよね。
また、限度額適用認定証は、申請書の記入が還付手続きよりも簡単です。
還付は3割負担でいくらかかったのかなど、実際の医療費を領収証を見ながら記入する欄があります。一般的によくわからない言葉が並んでいて難しく感じる患者さんが多いです。
1か月の医療費は少なくて済むし、申請書類も簡単なので、「限度額適用認定証」をおすすめします。この記事で詳しく説明していますので、ご覧になってみてください。
→3割負担の医療費を少しでも引き下げたいときの限度額適用認定証。はこちら
クレジットカードのポイントを貯めている患者さんは、限度額適用認定証を使わず還付手続きをする方がお得です。医療費に違いはありませんが、クレジットカードのポイントが貯まります。詳しくはこちらの記事に書いてますので、ご覧になってみてください。
→クレジットカード払いするなら高額療養費は還付申請がおすすめ。はこちら
限度額適用認定証は入院と外来で使えます。
しかし、入院と外来を合算して、高額療養費を計算することはできません。入院費用と外来費用を合わせて、高額療養費を適用させるなら、還付手続きをすることになります。詳細はこのページで解説しています。一度ご確認ください。
→入院と外来、医療費を合算するなら還付申請。高額療養費の申請を1回。はこちら
高額療養費の記事は他にもあります。回数や計算など、参考にご覧ください。
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