「他院での外来または入院と、合算しての限度額適用認定証の使用はできないのではないか?」
ということを以前、このブログの読者さんより質問を頂きました。
なるほど。高額療養費制度だけでも難しいのに、限度額適用認定証や合算、他院に入院外来、状況が複雑になると混乱しますよね。
今回は限度額適用認定証を使った高額療養費の合算について、詳しく説明していきます。
限度額適用認定証で高額療養費の合算をできるのか?
質問のコメントを頂いた記事では、高額療養費という大きなくくりで、合算について解説しました。だから、限度額適用認定証のことは、あまり書かれていなかったです。
→高額療養費は外来と入院で使える?合算ができる条件は?はこちら
高額療養費の合算でも、限度額適用認定証は使えます。ですが、1か所ごとの医療費を安くして、最終的には還付手続きをすることになります。
限度額適用認定証で全ての医療費を、合算することはできません。
高額療養費は入院と外来に分けられています。更に体のこと全般を治療する「医科」と、歯や顎だけを対象とした「歯科」があります。
1つの病院であっても、外科や内科といった「医科」の入院・外来。院内に併設されていても、歯医者さん分野である「歯科」の入院・外来。病院から健康保険に送る請求書別で、4種類になります。
限度額適用認定証は1枚だけですが、同じ病院でも4つに分けられて計算します。
病院1か所でも4種類に分けて計算される。
基本的な限度額適用認定証の使い方、計算方法について、例をあげてみます。
- 外科(医科)で入院した医療費「100,000円」
- 内科(医科)の通院した外来医療費「100,000円」
- 歯科で入院した医療費「100,000円」
- 歯科で通院した外来医療費「100,000円」
合計400,000円でも、医科や歯科、入院と外来に分けられて、それぞれ「100,000円」に限度額適用認定証区分ウをきかせて「80,763円」になります。
同じ病院なら限度額適用認定証で、400,000円が90,763円になる、と思われがちです。しかし、病院窓口ではなりません。
まず、限度額適用認定証でできることは、100,000円が80,763円にすること。4つで323,052円になります。
病院での精算は、323,052円で一旦お支払いします。後日、高額療養費の還付手続きを申請して、最終的に患者さんの負担する金額は「90,763円」になります。
(4つの3割負担合計)400,000円-(最終的な患者さん負担額)90,763円=(高額療養費として安くなる金額)309,237円。
(高額療養費で引かれる金額)309,237円-(限度額適用認定証で安くなった分)76,948円=(健康保険から返金されるお金)232,289円。
全体の高額療養費から限度額適用認定証で安くした分を引いた、差額分の232,289円が、健康保険から患者さんへ戻ってきます。
限度額適用認定証で4つまとめて、90,763円にはできないのです。
高額療養費の合算条件「21,000円以上」だけど限度額以下だったら。
検査や治療内容によっては、病院代が限度額までかからないこともあります。
- 外科(医科)で入院した医療費「100,000円」
- 内科(医科)の通院した外来医療費「50,000円」
- 歯科で入院した医療費「60,000円」
- 歯科で通院した外来医療費「30,000円」
患者さんの限度額適用認定証が区分ウだった場合、限度額は80,100円が目安です。
上の例でいえば、限度額適用認定証が使える医療費は、外科の入院費用だけです。内科の外来費用や、歯科の入院費用、歯科の外来費用は、限度額適用認定証は使えません。
しかし、高額療養費の合算できる条件「21,000円以上」は超えているので、安くすることができます。
外科の入院費が限度額適用認定証で「80,763円」になります。他の医療費については、そのままの料金で病院窓口にお支払いです。
- 外科(医科)で入院した医療費
「100,000円」→「80,763円」 - 内科(医科)の通院した外来医療費「50,000円」
- 歯科で入院した医療費「60,000円」
- 歯科で通院した外来医療費「30,000円」
後日、すべての医療費を合わせて、高額療養費の償還払い申請をします。
外科入院80,763円+内科外来50,000円+歯科入院60,000円+歯科外来30,000円=合計220,763円。
220,763円は一度、病院の会計窓口に支払いますが、高額療養費の還付手続きをすると、101,430円になります。
119,333円が約3か月後に、健康保険から患者さんへ振り込まれます。
最初から4つまとめて101,430円に、限度額適用認定証で合算はできないです。
2か所以上の病院代に高額療養費制度を使う場合。
入院と外来が異なる病院だったとき。
A病院で入院して、退院後はB整形外科へ通院した。入院と外来で病院代が、それぞれ10万円かかったとします。
- A病院(医科)で入院した医療費「100,000円」
- B整形外科(医科)の通院した外来医療費「100,000円」
病院は違うけど、100,000円になったら、1か所ずつで限度額適用認定証を使えます。
A病院の入院医療費は80,763円、B整形外科の外来医療費は80,763円です。
A病院とB整形外科の医療費を合算して、高額療養費を使うなら、「還付手続き」になります。
限度額適用認定証を提示したところで、病院が違って、入院と外来も違うので、合算できません。
同じ病院で入院。外科(医科)と歯科だったとき。
〇〇総合病院や△△大学病院など、大きい医療機関だと、歯医者さんも診療科目にあります。同一病院で入院していても、歯科は別扱いです。
- 外科(医科)で入院した医療費「100,000円」
- 歯科で入院した医療費「100,000円」
診療科目が外科や内科なら、限度額適用認定証で合わせて高額療養費の計算ができます。
だけど、歯医者さん、歯科だけは、病院から健康保険宛ての請求書が別なので、限度額適用認定証の計算も別になります。
限度額適用認定証を使うときは、外科(医科)と歯科で、それぞれ80,763円になります。
高額療養費の「還付手続き」で、外科(医科)と歯科を合算できます。
同じ病院に入院して、同じ限度額適用認定証を出しても、外科や内科など医科と歯医者さんの歯科は、合算できないです。
【まとめ】限度額適用認定証を使っても還付手続きをしても最終的には同じ負担金額になる。
高額療養費の合算をすると、最後は同じになります。
- 外科(医科)で入院した医療費「100,000円」
- 内科(医科)の通院した外来医療費「100,000円」
- 歯科で入院した医療費「100,000円」
- 歯科で通院した外来医療費「100,000円」
100,000円を限度額適用認定証を使って、80,763円にする。4つ合わせて一度、323,052円を支払っても、232,289円が返ってくる。
100,000円-80,763円=限度額適用認定証で安くなった金額、19,237円。4つで76,948円。
76,948円+232,289円=4つの高額療養費合計で「309,237円」。
100,000円が4つだったら、400,000円。高額療養費を使って合算すると、90,763円。
健康保険に還付手続きをすると、「309,237円」が返金されます。
高額療養費は合算するときに、限度額適用認定証を使っても、結果は同じ。患者さんのお支払いする金額は、還付手続きしたときと、同じ金額になります。
なので、私が高額療養費の合算申請をするときは、還付手続きをします。手術をしたり緊急入院など、金額が大きくなった場合は、一度限度額適用認定証を使って安くしています。
3割負担で1,000,000円だったら、限度額適用認定証で110,763円になります。一時的な支払いで3か月後に返金されるとわかっていても、差額889,237円は大金です。
限度額適用認定証で一旦安くするか、あとでまとめて還付手続きをするか、患者さんが選んでよいものです。
限度額適用認定証の申請が面倒。手続きしたところで、安くなるのは10,000円くらい。あとで戻ってくるならいいや。とお支払いできるなら、無理に限度額適用認定証を手続きする必要はありません。
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