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はじめての病院でも高額療養費の4回目以降になることがあります。

高額療養費の回数の数え方4回以降多数回

引越や精密検査、長期療養など、いままで通っていた病院や入院していた病院から、別の病院に変わる(転院する)ことがありますよね。

そのとき、前の病院では高額療養費を使い続けて多数回該当だったのに、別の病院に行ったらまた1回目に戻ってしまった。ということはありませんか?

もし転院前の病院(前の病院)で高額療養費の多数回の限度額だったとしたら、転院後の病院(次の病院)でも4回目以降(多数回)の限度額で計算できることがあります。

この記事では、転院後の病院でも高額療養費の多数回該当にしたいときに、「用意するもの」と「やり方(方法)」をお教えします。

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高額療養費は過去1年(過去12か月)以内なら、どの病院でも回数に変わりありません。

区分1回目~3回目の限度額4回目、多数回の限度額
252,600円+(総医療費-842,000円)×1%140,100円
167,400円+(総医療費-558,000円)×1%93,000円
80,100円+(総医療費-267,000円)×1%44,400円
57,600円44,400円
35,400円24,600円

高額療養費は、過去1年(12か月)以内に使っていたら、1回としてカウントします。

2025年1月、2月に、病院Aで、1回目、2回目の高額療養費を使う。

2025年3月、4月に、病院Bで、3回目、4回目の高額療養費を使う。

という場合でも、2025年4月の病院Bは4回目になります。

2025年5月に、病院Cで、高額療養費を使ったとしても、病院Aのときから数えて5回目になります。

大前提として、「ひとりの患者」さんとして数えるので、病院がAでもBでも関係ないです。

大事なことは、病院ではなく、期間です。患者○○さんは、過去1年(12か月)以内に、何回、高額療養費を使ったか?が焦点になります。

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病院が変わって、高額療養費1回目に戻った患者さんも、また多数回にできます。

高額療養費の回数の数え方4回以降多数回過去1年間12か月1

通常、病院では初めてかかる患者さんは、高額療養費の回数は1回目で計算します。

しかし、退院証明書や医師の紹介状、「以前に高額療養費を使ったことがある」「違う病院に入院していた」など患者さんからの申告で、患者さんの高額療養費の回数は多数回だということがわかります。

そういうときは確認がとれれば、転院後の病院でも高額療養費の限度額を多数回で計算することができます。

たとえば、上のグラフのようなとき。グラフは、健康保険を使った3割負担の医療費が、7月から9月は90,000円、10月から翌年6月は85,000円で作りました。

7月、8月、9月は高額療養費の1回目から3回目(黄色い線までが限度額)。10月以降は3割負担で85,000円だったとしても、高額療養費の多数回で限度額が44,400円になっていた(オレンジの線までが限度額)。

6月、転院後の病院では、患者さんにとってはじめての病院だったため、1回目の限度額になってしまった(黄色い線まで)。

このとき転院前の病院(前の病院)で多数回(オレンジの線まで)だったことが確認できれば、転院先の病院でも多数回(オレンジの線まで)にできる。ということです。

過去1年(過去12か月)以内に高額療養費を使ったこと、多数回に該当していることが確認できれば、転院先のはじめての病院でも高額療養費の多数回の限度額にして患者さんの負担額を安くできます。

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新しい病院でも高額療養費の多数回(4回目以降)にするには確認が必要です。

  • 「先月高額療養費を使ったよ。」
  • 「ほんとは多数回なんだよね。」

など患者さんが教えてくれても、申し訳ないのですが病院はすんなりと信じることができません。

患者さんの勘違いや病院の捉え方間違いで回数が違っていて、後から差額のお支払がでてくると、患者さんに迷惑をかけることになるからです。※病院の収入も遅れます。

なので、「高額療養費の多数回(4回目以降)」という確認が必要です。

高額療養費の多数回に該当している確認方法は、3つあります。

  • 限度額適用認定証で高額療養費を利用した場合は、「病院の領収書」。
  • 還付手続きで高額療養費を利用した場合は「健康保険からの還付金通知書」。
  • 病院から健康保険へ、直接問い合わせをする。

また、病院の領収書や健康保険からの還付金通知書で確認した場合は、念のためコピーをさせてもらえると、病院は安心できます。

後で高額療養費の回数を確認するとき、また領収書や通知書を確認したいとき、領収書や通知書を病院まで持ってきてもらわなきゃいけなくなります。

すると結果として、患者さんやご家族に手間を取らせることになるので、それなら病院も控えておけば、患者さんの手間を取らせることなく、いつでも高額療養費の確認をできますから。

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限度額適用認定証で高額療養費を利用した場合は、「病院の領収書」。

限度額適用認定証を利用している患者さんは、その「病院の領収書」で高額療養費を利用しているのか、確認できます。

受付や会計など病院の事務は、領収書を見れば限度額適用認定証を使っているかどうかわかります。

  • 合計保険点数
  • 10割負担での金額
  • 3割負担での金額
  • 最終的に患者さんが支払った金額(自己負担額)

領収書に「限度額適用認定証適用済」というようなことが書いていなくても、領収書に記載されている点数や金額から計算すればわかことなのです。

最近ではなくなりましたが、国民健康保険「委任払い」を利用されたときも、同じように領収書を見ればわかります。

患者さんは限度額適用認定証なのか委任払いなのか、よくわからなくても大丈夫です。限度額適用認定証も委任払いも、高額療養費なので、どちらでも1回としてカウントされます。

なので、「何かよくわからないけど、何かで安くなっていた。」というときは、領収書を病院の受付事務に出して、高額療養費を利用しているのか、多数回なのか、みてもらってください。

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還付手続きで高額療養費を利用した場合は「健康保険からの還付金通知書」。

還付手続き(償還払い)を利用された患者さんは、「健康保険から届いた還付金の通知書」が有効です。

「○月○日に、○○円を銀行口座に振り込みました。」という通知が健康保険から送られてきます。この通知は、「病院で支払った3割負担のうち、高額療養費の分を健康保険からお返ししますよ。」というものなので、高額療養費を使った証明になります。

還付金通知書だけでは、合計保険点数や10割の負担での金額、3割負担での金額がわかりません。

ですので、もしあれば「健康保険からの還付金通知書」と一緒に、「病院の領収書」も、転院先の病院(新しい病院)に持っていくと効果的でしょう。

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病院の受付事務から健康保険に高額療養費の利用状況(回数)を直接問い合わせをしてもらう。

病院の領収書や健康保険からの還付金通知書など、高額療養費の利用を証明するものが何もない場合は、健康保険に電話などで確認してもOKです。

ただし、患者さんの高額療養費の回数を電話などで問い合わせして教えてくれるかどうかは、健康保険によって対応はマチマチです。

国民健康保険は、電話で高額療養費の回数を確認して教えてくれます。(私の経験上、ほとんどの市町村は教えてくれました。)

全国健康保険協会は個人情報だからといって教えてくれません。その代わり、「患者さんが確実に高額療養費の多数回である。と確認できれば良い。」とのことでした。なので前の病院の領収書や健康保険から届く還付金通知書で確認していました。

共済保険や組合保険も、「個人情報だから教えられない」という理由で断られることがあります。

そのときは、患者さんから健康保険に電話して病院に教えること承諾した上で、受付の人に電話を代わって回数を教えてもらったり、高額療養費の利用状況(回数)を書面で患者さん宛てに送ってもらって、患者さんから病院の事務に渡すなど、やり方を変えてみてください。

病院から健康保険に問い合わせることもできますので、まずは「高額療養費の回数を確認してほしい」と病院の事務に頼んでみてはいかがでしょうか。

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転院先の病院(新しい)病院で「この病院で数えて高額療養費の1回目だから、前の病院から回数を引き継ぐことはできない」と言われることもあります。

でも、できます

私は仕事のときもやっていたし、知人の手続きも手伝ったことがあります。だから、「できない」という病院はできることを知らないか、面倒だからやりたくないだけです。

調べたり、健康保険に聞くなり対応するのが、病院の医療事務の仕事なので、何回でも相談していいと思いますよ。

面倒になったりで諦めた場合には、高額療養費の「還付手続き」ができます。還付手続きをすると、高額療養費の1回目から3回目まで多く支払っていた分、あとで多数回(4回目)との差額が返金されます。

高額療養費の「還付手続き」について、詳細はこちらの記事に書いてあります。

→高額療養費の還付手続き(償還払い)とは?3割負担して高額分を戻す方法。はこちら

→高額療養費の還付申請する方法。必要なものから手続きする場所まで。はこちら

保険証や健康保険などについての記事は他にもあります。参考にご覧ください。

→保険証や負担割合、種類など、健康保険の疑問を解決します。はこちら

4 COMMENTS

藤田 聡美

高額療養費の多数回該当の考え方ですが。
限度額申請書の期限が切れ、継続申請し新たな申請期間が始まったら80,100円は3回続けて4回目から44,400円になるんですか?
一度、多数回該当になったら、ずっと44,400円ではないんですか?

返信する
葉月

藤田聡美さん、コメントありがとうございます。
限度額適用認定証の新しい有効期間になっても、高額療養費の回数は引き継がれます。
たとえば、1回目の限度額適用認定証が平成27年9月1日~平成28年8月31日まで。
継続申請で、2回目の限度額適用認定証が平成28年9月1日~平成29年8月31日まで。だとします。
平成27年9月、10月、11月と80,100円の負担をし、12月からは毎月44,400円だった。
1回目で既に毎月多数該当になっているので、2回目も、多数回該当で平成28年9月から44,400円になります。
高額療養費は、限度額適用認定証を使っての1回も、還付手続きをしての1回も、同じようにカウントされます。
多数回該当になったことがあっても、過去12か月以内に高額療養費を3回利用していなければ、毎回80,100円になります。
多数回になったのが1年以上も前のことであれば、また80,100円から数え直しということです。
一度多数回に該当すれば、「永久に44,400円」という訳ではないので、ご注意頂きますようお願いします。
こちらの記事にまとめましたので、もしよろしければ、ご覧ください。
→限度額適用認定証を継続申請した時の数え方。回数がリセットされる?はこちら

返信する
たぬきさん

非常に頭をかかえているので質問させてほしいです。

他院で三回既に上限負担額までの支払いをされ、当院へ転院する段階で本来は患者さんが4回目の治療になるので多数回該当に当てはまります。なので実質は軽減された値段の負担になることは分かっています。
ただ、葉月様のをみると、当院での1回目治療でも患者さんが窓口に支払って下さる額が初めから軽減された額に該当するとのことでしたが、レセはどうされていたのでしょうか。
調べると病院ごとで違うレセプトとのことなので、当院が4回目になるまでの3回は上限負担額まで支払ってもらい、患者さんで還付請求を保険者にしていただくものだと思っていました。
もし良ければご回答お願いしたいです。

返信する
葉月

たぬきさん、こんばんは。
葉月です。

レセプトは、そのまま高額療養費の4回目以降の自己負担金額で請求していました。

私は全国健康保険協会の北海道支部に、電話で問い合わせして確認しました。
全国健康保険協会の北海道支部の回答として、
「高額療養費の適用を3回利用していること。4回目以降、多数該当であることを、病院で確認できれば、転院後の病院で多数該当にしてもよい。」
というお返事をいただきました。

なので、念のため、病院控えとして、転院前の病院で高額療養費を3回適用している医療費領収書をコピーしていました。
万が一、返戻や査定、保険者からの問い合わせなどがあった場合に、過去12か月以内に、他院で3回の高額療養費適用を確認済を証明できるからです。

当ブログは、患者さん向けに健康保険の情報発信をしております。
貴院としても、患者さんの保険者などに、直接確認することをおすすめします。

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